米国 Apple は、スマートフォン「iPhone」を使うモバイル決済機能「Apple Pay」を発表した。現在のところ、10月実施予定の「iOS 8」用アップデートで米国向けに提供を開始する予定。間もなく発売する「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」で利用可能になるほか、2015年発売予定のスマートウォッチ「Apple Watch」と組み合わせた既存モデル「iPhone 5」「iPhone 5c」「iPhone 5s」も決済手続きに使える。

Apple、NFC ベースのモバイル決済サービス「Apple Pay」を発表、普及には障害も
NFC 対応モバイル決済サービス Apple Pay
各種 iPhone と Apple Watch で利用可能
(出典:Apple)

Apple Pay は、NFC を使った非接触タイプの決済機能。店舗などで店頭にある決済端末に iPhone 6/6 Plus や Apple Watch をかざし、「Touch ID」で指紋認証(iPhone 6/6 Plus/5sのみ)するだけで支払いが完了する。iPhone のロックを解除したり、決済用アプリケーションを起動したりする手間がかからない。米国内の22万軒を超える店舗で利用できるようになるという。オンライン通販サイトの決済にも対応しており、「App Store」などの商品購入時の支払いに使える。

オンライン通販などの決済にも利用できる (出典:Apple)
オンライン通販などの決済にも利用できる
(出典:Apple)

支払いには、ユーザーの「iTunes Store」アカウントに紐付けたクレジットカードまたはデビットカードを使う。クレジットカード/デビットカードの番号は iPhone/Apple Watch 内や Apple のサーバーにそのまま記録せず、個別に生成した識別番号「Device Account Number」を暗号化して iPhone/Apple Watch 上の Apple Pay 用チップ「Secure Element」に保存して守る。

iPhone を紛失したり盗まれたりした場合には、悪用防止のため「Find My iPhone(iPhone を探す)」サービスから Apple Pay 機能を停止できる。プライバシ面にも配慮しており、Apple はユーザーの購入した商品、利用店舗、決済額といった商品購入履歴を収集しないとしている。

なお、モバイル決済機能という面で、Apple Pay は日本国内で携帯電話や Android スマートフォンに普及している FeliCa チップによる「おサイフケータイ」とよく似ているが、指紋認証を求められる点は魅力的。ただし、世界的には Android スマートフォンのシェアが伸びており、Apple Pay の利用できる iPhone が一部モデルに限られることから、利用者を増やすには時間がかかりそうだ。

また、日本国内での Apple Pay サービス提供の計画は定かでないが、すでに FeliCa 対応決済が広く使われているため、ユーザーの iPhone 買い換えや店舗の決済端末入れ替えなど普及を阻む要因ばかり目につく。

指紋認証は魅力的だが (出典:Apple)
指紋認証は魅力的だが
(出典:Apple)