未来少年は、インターネット接続ができない状況でも Bluetooth を使ってチャットができるスマートフォン向けアプリケーション「Cycro」を発表した。まず Android 版、次いで iOS 版を公開する。技術検証が目的だが、今後その成果を取り込んだ次世代の一般向けコミュニケーションアプリも開発する予定。

災害でネットが死んでも使える Bluetooth チャット「Cycro」、リレー通信で遠方と連絡  
Cycro  

■インターネットとは別の簡易コミュニケーション手段をすばやく構築


Cycro では、アプリを入れたスマートフォン同士がつながり、インターネットを介さない簡易コミュニケーション手段をすばやく構築してチャットを行える。

開発元の未来少年によると、Cycro の公開はあくまで技術検証が目的ではあるが、可能性としては、災害時などの通信環境の悪い機会や場所での利用や、コンサート会場など隔離された場所でのクローズドなコミュニケーション、社内での機密性の高いコミュニケーションといった用途が考えられるとしている。

特に災害対策については注目に値する。近距離無線通信規格である Bluetooth は、有効距離が最大 10m 程度だが、Cycro では複数台のスマートフォンがリレー通信することで、20m、30m と伸ばしていける。避難所などさまざまな場所で使い道が考えられる。

また Cycro は録音データや写真の送受信が可能。さらに音声通話機能なども導入を検討しており、工夫次第で用途は広がりそうだ。

■ NTT コムウェアも技術開発、課題は「日常利用してもらうこと」


ところで、Bluetooth を使って災害時などに簡易ネットワークを構築するというのは、突飛な思い付きという訳ではない。NTT コムウェアも以前から別途、技術開発を行っている。 同社に問い合わせたところ、現在こうした技術をもとに一般向けコミュニケーションアプリの実用化を目指し、フィールドテストを実施しながら準備を進めている段階だという。

ただし NTT コムウェアでは、災害時だけでなく日常からアプリを利用してもらえるようでないと、一般に広まらず、いざ有事になっても役に立てない点が課題だとしている。同社は自治体向けにこうした技術を生かした災害対策ツールの提案も行っているが、やはり、どうやって住民に日常利用してもらうかが課題になっており、それを踏まえた新たな事業モデルを検討中とのこと。

■ Bluetooth チャットを「付加価値」に


未来少年が、Cycro で得た検証結果をもとに開発する予定の次世代コミュニケーションアプリも、日常利用に配慮した設計になるもようだ。 次世代アプリでは、Bluetooth チャットを「付加価値」と位置付け、ほかのさまざまな技術と併用する形になる。革新性だけに重点を置かず、日常の潜在需要を掘り起こすような機能を構想しているという。