米国 Apple は、iPhone、iPad 向け OS の最新版「iOS 8」を今秋公開する。新たに「サードパーティ製キーボード」に対応すると発表があり、「ATOK」のような PC でなじみのある文字入力システム(IME)が利用可能になるとの期待が高まっている。

「iOS 8」で外部 IME が解禁! ジャストシステム「待ち望んでいた」とコメント
iOS 8

■iPhone で「ATOK」など外部 IME が利用可能に?



iOS は使用感の統一を重視する傾向があり、従来は Android のように IME を自由に変更することは許可していなかった。

そのため例えば ATOK を開発するジャストシステムは、すでに何年も前から Android 版を投入しているが、 iOS 版は用意できず、代替として ATOK の技術を生かしたメモアプリケーション「ATOK Pad」を展開してきた。しかしメモアプリでは、いったん入力した内容をほかのアプリに転送するという方法をとらざるを得ず、さまざまなアプリに直接入力できる IME に比べ使い勝手に制限があった。

こうした制限を不便に思っていたユーザーにとって、iOS 8 の新機能は朗報と言える。ジャストシステムの広報に問い合わせたところ、iOS での 外部 IME 解禁については「待ち望んでいた」動きだとのコメントを得た。まだ ATOK の iOS 版を出すと決定した訳ではないが、すでに前向きに開発情報の調査を行っているとのことだ。

ATOK にとっては市場拡大の機会になりそうだ。もっとも、それは近年侮れない競合製品となりつつある「Google 日本語入力」などにとっても同じで、今後さまざまな IME 開発企業が一斉に iOS 版に取り組むことは想像に難くない。

■高精度とプライバシの両立を図る Apple 製 IME「QuickType keyboard」

一方、iOS 8 の標準搭載 IME も従来に比べ改良している。Apple が「QuickType keyboard」と呼ぶそれは、ユーザーの入力内容を学習し、適切な単語の候補を予測して表示する機能を備える。今使っているアプリが何か、メッセージを送る相手が誰かまで含めて判断し、適切な候補を表示してくれる。

さらに学習内容は iPhone や iPad 内に暗号化して保存し、クラウド上には絶対に送信しないとしている。

これは多くの IME 開発企業にとって耳の痛い話だ。最近の IME はクラウド上にデータを送信することで、変換や予測入力の精度を高め、豊富な語彙を実現する一方、プライバシを犠牲にしているとの批判が出ている。Android 向け IME の雄である Simeji が無断でユーザーの入力内容を外部送信していた一件は記憶に新しい。

QuickType keyboard がローカライズによってどこまで日本語圏で使いやすくなるかはまだ分からないが、ATOK や Google 日本語入力にとって強力なライバルになる可能性は大いにある。いずれにせよ、ユーザーの選択肢が増えるのは喜ばしい。

なお、iOS 8 を利用できる機種は iPhone 5s/5c/5/4s、 第5世代 iPod touch、iPad 2、iPad の Retina ディスプレイモデル、iPad Air、初代 iPad mini、iPad mini の Retina ディスプレイモデル。