ヤマハ スポーツツアラー「TRACER9 GT ABS」発売

ヤマハ発動機は、スポーツツアラー「TRACER9 GT ABS」を7月28日に発売する。「MT-09 ABS」をベースに、スポーツ性能とツーリング性能を追求した。

ヤマハ スポーツツアラー「TRACER9 GT ABS」発売 ― 「MT-09 ABS」をベースにツーリング性能を追求

2021年モデルの特徴は、1. 新888cc CP3エンジン、2. 軽量CFアルミダイキャスト製の新フレームと専用リアフレームおよびリアアーム、3. 独自のSPINFORGED WHEEL技術による軽量アルミホイール、4. 新IMUを活用した運転操作を支援する各種制御、5. 優れた乗り心地、接地感をもたらすKYB製前後電子制御サスペンション、6. 機動性と機能性を表現したスタイリング、7. スポーツツアラーとしての快適性と機能性をさらに高める充実装備と車体構造など。


ヤマハ スポーツツアラー「TRACER9 GT ABS」発売

■ TRACER9 GT ABSの特徴
1. トルクフルな新888cc CP3エンジン
「MT-09 ABS」同様、最高出力120PS、最大トルク93Nmを発生する888cc・水冷・4ストローク・DOHC・3気筒・4バルブのCP3エンジンを搭載。ピストンやコンロッドなどの多くの主要パーツを新設計し軽量化を図った。

ヤマハ スポーツツアラー「TRACER9 GT ABS」発売

燃料供給系も一新し、インジェクターは従来のシリンダーヘッド直付からスロットルバルブ側に取り付け位置を変更。噴射はバルブ傘裏方向とし、優れた燃焼効率を引き出した。こうした燃焼改善と軽量化により、燃費の改善を実現し、さらにクラッチレバーの操作荷重を低減することでスポーツツアラーとしての機能を高めた。

2. 軽量CFアルミダイキャスト製の新フレームと専用リアフレームおよびリアアーム
2021年モデルの「MT-09 ABS」のフレームをベースに、「TRACER9」用に専用チューニングを施した新フレームを採用した。ヘッドパイプ手前のステーや、シリンダーヘッド左右のエンジン懸架ブラケットをチューニングし、剛性バランスをスポーツツアラーとして最適化している。

ヤマハ スポーツツアラー「TRACER9 GT ABS」発売

また、リアフレームを専用設計し、高速安定性やタンデム居住性を確保した。リアアームも専用設計し、アルミパネルを溶接したボックス構造で、高い剛性と軽量化を両立している。それによりトラクションをライダーに伝え、高速走行時、旋回時の安心感に寄与している。

ステーやブラケットの専用チューニングと合わせ、積載時の直進安定性、旋回性も向上。さらに純正アクセサリ―のサイドケース、トップケースの計3バッグを搭載可能とし、積載性も向上している。

3. SPINFORGED WHEEL技術による軽量アルミホイール
“鋳造ホイールでありながら鍛造ホイールに匹敵する強度と靭性のバランス”を達成した“SPINFORGED WHEEL”技術による軽量ホイールを採用。従来の「TRACER900」より前後で約1,000gの軽量化を実現した。また、慣性モーメントをフロント11%、リア15%低減させたことでアジャイルな運動性能を獲得している。

ヤマハ スポーツツアラー「TRACER9 GT ABS」発売

4. 新IMUを活用した運転操作を支援する各種制御
2021年モデル「MT-09 ABS」同様に新開発の「IMU」を搭載した。「YZF-R1」で実績のある「IMU」の基本性能を維持しつつ、センサー構成を見直すことで50%の小型化、40%の軽量化を実現している。

ECUには3 種の制御システムを織り込んだ。個々の制御は相互に連動して運転操作を支援、マシンのポテンシャルを効率良く引き出す。各システムとも、介入レベル調整、およびON・OFF設定が可能。また新装備となるコーナリングランプや電子制御サスペンションの制御にも使用している。

5. 優れた乗り心地、接地感をもたらすKYB製前後電子制御サスペンション
スポーツ性と乗り心地の両立を図るため、KYB社と共同開発の電子制御サスペンション「KADS」を採用。「IMU」と「ECU」「HU」の情報にもとづき、「SCU」が減衰レベルを最適化する。減衰力の調整機構にはソレノイド駆動を採用し、素早く、かつ大きく減衰力を調整する。ドライのスポーティな走りを主体にウエットにも対応できるモードと長距離走行時などでの快適な乗り心地を狙ったモードの2モードが用意されている。

6. 機動性と機能性を表現したスタイリング
意匠のための要素をなるべく取り除き、旅をするための機能を最優先したスタイリングとした。

ヤマハ スポーツツアラー「TRACER9 GT ABS」発売

「MT-09 ABS」が持つ凝縮感のあるプラットフォームをもとに、スクリーン、フロントカウル、ブラッシュガードなど最適なウインドプロテクションのための機構をコンパクトにまとめ、専用設計した灯火器の採用で、旅のための機能を最優先にしたデザインとしている。

ヤマハ スポーツツアラー「TRACER9 GT ABS」発売

また、ウインドプロテクションを向上させる新デザインスクリーンやフロントカウルで目的地へ向かう推進力を表現。コンパクトなブラッシュガードやフローティングさせた3.5インチダブルTFTメーターは、広い視界やハンドル切れ角の可動範囲の確保に貢献し、旅の中での軽快なハンドリングや風景を楽しめそうな雰囲気を醸し出している。

ヤマハ スポーツツアラー「TRACER9 GT ABS」発売

7. スポーツツアラーとしての快適性と機能性をさらに高める充実装備と車体構造
・ 夜間走行でライダーの負担の低減を図るコーナリングランプ
車速約5km/h以上で、バンク角が7度を超えると点灯する新作コーナリングランプを採用した。ハイビーム、ロービームいずれの場合もイン側のコーナリングランプが点灯を開始し、バンクが深くなるのに伴い明るくなることでライダーの夜間走行をサポートする。

ヤマハ スポーツツアラー「TRACER9 GT ABS」発売

・ 3バッグ搭載を可能にするダンパー内蔵サイドケース用ステー
純正アクセサリーのサイドケース用のステーを装備。独自の制振技術を応用して、サイドケースの振動を減衰することで、サイドケース搭載時の高速安定性と旋回性を高次元で両立している。

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・ 3.5インチダブルTFTメーター
左のメインメーターには、デジタルバータコメーター、燃料計、平均燃費、水温計、外気温計、シフトインジケーター、ETCカード挿入確認などの機能を搭載。また、クルーズコントロールシステムのセット速度もメーターで確認できる。右側のメーターでは各情報から4種を選び拡大表示が可能で、良好な視認性を確保している。

ヤマハ スポーツツアラー「TRACER9 GT ABS」発売

カラーバリエーションは「シルバー」「レッド」「マットグリーニッシュグレー」の3色展開。メーカー希望小売価格は145万2,000円。