ヤマハ ロードスポーツ「MT-09 ABS」フルモデルチェンジ

ヤマハ発動機はロードスポーツ「MT-09 ABS」をフルモデルチェンジして8月26日に、上級仕様の「MT-09 SP ABS」を7月28日に発売する。

ヤマハ ロードスポーツ「MT-09 ABS」フルモデルチェンジ

「MT-09 ABS」の開発コンセプトは“The Rodeo Master”。従来からの“Torque & Agile”に加え、ライダーに“Feeling”をもたらすことを目指している。このコンセプトを実現するため、エンジン・車体ともに刷新。随所に軽量化技術を織り込むことで、従来モデル比でマイナス約4kgを実現した。


ヤマハ ロードスポーツ「MT-09 ABS」フルモデルチェンジ

2021年モデルの特徴は、1. トルクフルな新888cc CP3エンジン、2. 最低肉厚1.7mmの軽量CFアルミダイキャスト製新フレーム、3. 独自のSPINFORGED WHEEL技術による軽量アルミホイール、4. トルク感と加速感を表現したサウンドデザイン、5. 新IMUを活用した運転操作を支援する各種制御、6. 感覚を刺激する新ボディデザインなど。

ヤマハ ロードスポーツ「MT-09 ABS」フルモデルチェンジ

2021年モデル特徴

1. トルクフルな新888cc CP3エンジン
最高出力120PS、最大トルク93Nmを発生する水冷・4ストローク・DOHC・4バルブエンジンを搭載。この888cc CP3(クロスプレーン・コンセプト 3気筒)エンジンは、ボア・ストローク:78.0mm×62.0mm、11.5:1の圧縮比から優れたトルク・出力特性を発揮する。またピストン、コンロッド、クランクシャフト、カムシャフト、クランクケースなど主要パーツの多くを新設計し、軽量に仕上げた。

ヤマハ ロードスポーツ「MT-09 ABS」フルモデルチェンジ

燃料供給系も一新し、インジェクターは従来のシリンダーヘッド直付からスロットルバルブ側に取り付け位置を変更。噴射はバルブ傘裏方向とし、優れた燃焼効率を引き出しました。こうした燃焼改善と軽量化により、燃費の改善も実現した。

2. 最低肉厚1.7mmの軽量CFアルミダイキャスト製新フレーム
CFアルミダイキャスト技術により、最低肉厚1.7mmを実現した軽量アルミ製フレームを採用(従来は最低肉厚3.5mm)。エンジン搭載角を47.5度から52.3度へと立て気味にしてコンパクト化し、ディメンションを最適化した。

ヤマハ ロードスポーツ「MT-09 ABS」フルモデルチェンジ

また直進安定性と操縦性を両立させるために、縦・横・ねじり剛性のバランスを調整しており、とくに横剛性は従来比で約50%アップ、直進安定性に貢献している。さらにヘッドパイプの位置を従来比30mm下げることでフロント荷重をかけやすくし、旋回時の優れたフロント接地感に貢献した。

アルミパネルを溶接したボックス構造のリアアームは、高剛性と軽量化を両立。ピボット締結をリアアームの外側からフレームで支える構造に変更し、剛性チューニングやシート周辺形状の作り込みとの相乗効果で、スリム感を維持しながら優れた直進安定性、コーナリング安定性をもたらしている。

リアフレームもCFアルミダイキャスト製とし、フレーム、リアアームとの合算で従来比約2.3kg軽量化、アジャイルな走りの味を洗練させた。

3. 独自のSPINFORGED WHEEL技術による軽量アルミホイール
“鋳造ホイールでありながら鍛造ホイールに匹敵する強度と靭性のバランス”を達成したヤマハ独自の“SPINFORGED WHEEL”技術による軽量ホイールを採用。従来モデルより前後で約700g軽くなり、さらにリアの慣性モーメントが11%低減したことで、アジャイルな運動性能に貢献している。

ヤマハ ロードスポーツ「MT-09 ABS」フルモデルチェンジ

4. トルク感と加速感を表現したサウンドデザイン
排気・吸気を独自に設計・チューニングし、トルク感・加速感を演出した。排気音は 1.5段膨張室サイレンサーと左右シンメトリーのテールパイプを採用することで、発進時はリアの駆動力と同期した排気音によってトルクを感じ、スロットルを開けた瞬間に音が増大して聴こえるような、スイッチ感のあるサウンドが響きわたる。さらに回転上昇に従って、ライダーへの主音源が排気音から吸気音へ切り替わるように調整した。

ヤマハ ロードスポーツ「MT-09 ABS」フルモデルチェンジ

吸気音は、断面積と長さの異なる3つの吸気ダクトを採用し、各ダクトによる吸気音を各周波数帯で共鳴させ、かつ音圧をチューニングすることで中・高回転域でサウンドを強調した。

ヤマハ ロードスポーツ「MT-09 ABS」フルモデルチェンジ

5. 新IMUを活用した運転操作を支援する各種制御
新開発の「IMU」(Inertial Measurement Unit)を搭載。2015年モデル以降の「YZF-R1」で実績のある「IMU」の基本性能を維持しつつ、センサー構成を見直すことで50%の小型化、40%の軽量化を実現している。

ヤマハ ロードスポーツ「MT-09 ABS」フルモデルチェンジ

IMUの情報は、エンジン出力を制御する「ECU」(エンジンコントロールユニット)および、ブレーキ油圧を制御する「HU」(ハイドローリックユニット)に展開される。個々の制御は相互に連動して運転操作を支援、マシンのポテンシャルを効率良く引き出す。

各システムとも、介入レベル調整、およびON・OFF設定が可能。“Torque & Agile”なモデル特性に合わせた自然な制御が特徴となっている。

6. 感覚を刺激する新ボディデザイン
新しいボディデザインでは、エアインテークとそこに風を導くフロントウィングのスタイリングに空気の“流れ”や音の“波”などサウンドを想起させるテーマを採用。またヘッドランプやサイレンサーなど各パーツをエンジンを中心に凝縮させて力強いトルク感を表現した。

ヤマハ ロードスポーツ「MT-09 ABS」フルモデルチェンジ

スムーズなトップラインに、ショートオーバーハングのシルエットを組み合わせ、初代から引き継いできた“ライダーの意のままに操れるイメージ”に加え、カバー類を極力減らしたゼロカバー造形による構造体を魅せるスタイリングで、軽量化したボディによる軽快なハンドリングを表現している。

バイファンクションLEDヘッドランプ(Hi-Lo一体)を採用。照射範囲と範囲外の境目のコントラストが穏やかで柔らかくムラのない配光となっている。ポジションランプも導光体を備えたLEDタイプとし、新しいMTフェイスを印象づける意匠とした。

カラーバリエーションは「グレー」「ブルー」「マットダークグレー」の3色展開。メーカー希望小売価格は110万円。上級仕様の「MT-09 SP ABS」のカラーは「ブラック」で、価格は126万5,000円。

ヤマハ ロードスポーツ「MT-09 ABS」フルモデルチェンジ
上級仕様「MT-09 SP ABS」専用フィーチャー