
HUMのスペシャリストチームが、英国版CIVIC TYPE R(標準仕様車)を改造して作り上げた一台限りの非売モデル。プロジェクトのスタート時から、英国の道路で最も速いピックアップトラックとなることを目指して製造された。

興味深いのはそのリアデザイン。ピックアップトラックのリアには、テールゲートが装着されるものだが、「Project P」にはTYPE Rらしさの象徴ともいえるリアスポイラーが残された。このリアスポイラーは荷物の積み下ろし時には、取り外しが可能だという。

パワートレイン、サスペンション、ギアなどはオリジナルのまま。このため、「Project P」の最高速度は時速266キロ以上、0-100km/h加速は6秒以下になるはずと、HUMは見積もっている。
「Project P」にはオリジナル版同様、「+R」「SPORT」「COMFORT」の3つのドライブモードが備わっている。荷物を搭載して目的地まで移動する際には「COMFORT」でリラックスした走りを楽しみ、荷物をおろした帰り道では「+R」で極限の走りに集中する。そんな使い分けが可能だ。
「Project P」のプロジェクトリーダーであるAlyn James氏は、「我々は、『Project P』がFFベースのピックアップトラックとして最速のタイムを記録できるかを試すために、ニュルンベルクへの持ち込みさえも検討した」と語っている。

残念ながら、「Project P」が市販されることはない。Honda UKのPhil Webb氏は「Project P」の今後について次のように語っている。
「『Project P』を生産する予定ない。だが社内でホンダの芝刈り機や枯れ葉掃除機といった製品の運搬でピックアップトラックが必要とされるときには、『Project P』を活用するつもりだ」
英国で最も速いピックアップトラックとなるはずだった「Project P」が、芝刈り機の運搬に使われる。そう聞いて“もったいない!”と思ったのは筆者だけではないだろう。だがHUMは、実際に芝刈り機を荷台に乗せた「Project P」の姿を公開してしまっている。
