電動バイクと電動アシスト自転車の境界なくす「Electrom LEV」

「Electrom LEV」は、電動バイクと電動アシスト自転車の境界を無くす電動ビークル。カナダ ブリティッシュコロンビア州の州都であるビクトリア在住のFabrizio Crossさんが開発した。

電動バイクと電動アシスト自転車の境界なくす「Electrom LEV」
電動バイクと電動アシスト自転車の境界を無くす電動ビークル「Electrom LEV」

その最大の特徴は、「Generator Drive」機構にある。この機構では、走行速度が時速10キロ以下のときには、搭乗者によるペダルを漕ぐ力がチェーンにより後輪に伝達され、「Electrom LEV」は電動アシスト自転車として走行する。だが10キロを超えると「Electrom LEV」は後輪に取り付けられた500ワットのハブモーターのみで電動バイクとして走行することになるのだ。このとき、搭乗者がペダルを漕ぐ力は発電機に伝達され、バッテリーを充電する目的で使用される。


電動バイクと電動アシスト自転車の境界なくす「Electrom LEV」
時速10キロを超えると、後輪につながったチェーンドライブは
フリーホイール化される

搭乗者の視点から見れば、「Generator Drive」機構での“人力走行からモーター走行への切り替え”は、まるで自動変速機のように感じられるという。それほど、スムーズに、シームレスに切り替えが行われるそうだ。

そのような「Generator Drive」機構を搭載した「Electrom LEV」の1回の充電で走行できる距離は、基本的には約80キロ。ただし、サイクリストがペダルを漕げば漕ぐほど、この距離は伸びる。

「Electrom LEV」のベースとなったのは、リカンベントタイプの自転車。このタイプの自転車は高速で走行できるというメリットがあるが、坂道には弱いというデメリットも。また、車高が低いため、クルマのドライバーからは見えにくいという弱みも持っている。

電動バイクと電動アシスト自転車の境界なくす「Electrom LEV」
「Electrom LEV」のベースは、リカンベント

だが「Electrom LEV」にはモーターが取り付けられているので、坂道も比較的に楽にのぼれる。車高も高く、デザイン的にも目立つので、巻き込まれ事故のリスクを低減できるという。

電動バイクと電動アシスト自転車の境界なくす「Electrom LEV」
リカンベントだが、モーターのおかげで
坂道も楽にのぼれる

電動バイクと電動アシスト自転車の境界なくす「Electrom LEV」
道路を走行しても、安心感のある車高

Fabrizio Crossさんが「Electrom LEV」の開発を決めたのは、クルマから自転車に乗り換える人をもっと増やしたいという思いから。このため、「Electrom LEV」には、クルマのかわりに使うための機能がいくつも搭載されている。

電動バイクと電動アシスト自転車の境界なくす「Electrom LEV」
乗車時には風防を跳ね上げられる
これも、利用を楽にする工夫

例えば、リアには100リッターの大容量を持つトランクが取り付けられた。これにより、週末のまとめ買いにも対応できるという。

電動バイクと電動アシスト自転車の境界なくす「Electrom LEV」
100リッターの大容量トランク

リアトランクはカバーを取り外すことで、子乗せスペースになる。米国では、学校への送り迎えは親の重要な義務であり、これがあるためにクルマを手放せないという人も多い。この子乗せスペースは、そのような人たちも、自転車の世界へと誘える機能になりうる。

電動バイクと電動アシスト自転車の境界なくす「Electrom LEV」
子どもの送り迎えにも利用可能

また、米国では子どもの送り迎えで渋滞にはまってしまい、約束の時間に子どもをピックアップできないこともある。このようなことが発生した場合、親に対してペナルティが課せられたり、子どもを預かるキッズプレイスで追加の料金を請求されたりすることも。その点、「Electrom LEV」は北米では自転車扱いなので、自転車専用レーンを走行するなどして、道路が渋滞していても予定通りの時刻に目的地に着ける。

電動バイクと電動アシスト自転車の境界なくす「Electrom LEV」
自転車専用レーンの利用で渋滞時でもスムーズな移動が可能に

取り付けられたタイヤはバイクのもの。自転車は道路の端を走行するが、そのあたりは整備されていなかったり、清掃が徹底されていないことが多い。バイク用の太めのタイヤで走行することで、そのような道の端も快適に走行できる。

電動バイクと電動アシスト自転車の境界なくす「Electrom LEV」
こんな道でも、バイク用タイヤなら安心して走行できる(?)

Fabrizio Crossさんは「Electrom LEV」の市販化に向け、来年早々、クラウドファンディングキャンペーンを展開したいと考えている。日本での販売については、将来的には考えてみたいそうだ。だが日本では「Electrom LEV」は自転車としては認められず電動バイク扱いになる。そうなると、一般的な電動バイクと比較してパワーに劣る「Electrom LEV」は競争力を保てないかもしれない。日本市場でアピールするには、「Electrom LEV」に新たな魅力を追加する必要がある。その資金を獲得するためにも、当面は北米市場に注力したいと、Fabrizio Crossさんは語ってくれた。

電動バイクと電動アシスト自転車の境界なくす「Electrom LEV」
敬礼!