スーパーコンピューター「京」

理化学研究所(理研)と富士通が手掛けるスーパーコンピューター「京(けい)」が世界1位の座を守った。産業利用など実際のアプリケーションで使う処理速度を競う国際ランキング「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」で3期連続の最高成績を収めた。

HPCGは「共役勾配法」という物理現象に関するコンピューターシミュレーションに便利な計算方法の性能を競う。京は2016年11月、2017年6月に続き2017年11月の集計でもトップに立った。


2位は「神威太湖之光(Sunway TaihuLight)」。中国製で、単純な計算能力を競う国際ランキングTOP500では1位を得ている。

京は2012年に本格稼働を始めてからすでに5年が経過し、高性能な新顔が次々と登場する近年のスーパーコンピューターの世界ではベテランに属するが、依然としてTOP500でも10位に踏みとどまるなど、実力を示し続けている。複数のランキングでトップに立ち、カタログスペックだけでなく実用面でも優秀さを証明しているのが特徴。

スーパーコンピューターに多様な用途が生まれるにつれ、性能を測定する国際ランキングも種類を増しているが、京をはじめとする日本勢は多くの分野で存在感を保ち、新興の中国などと激しいレースを演じる。

単純な計算能力をみるTOP500では中国勢が躍進する一方、消費電力などの効率も加味した「Green500」ではコンピューターを丸ごと液体に漬けて発生する熱をとりのぞく「液浸冷却」技術を特徴とした「Shoubu(菖蒲)」をはじめとする日本勢が優位にある。

またHPCGや、ビッグデータと呼ぶ大量の情報を処理するのに重要な「グラフ解析」の性能を競う「Graph500」では、日中などが激しく競り合うなか、京が先頭を走ってきた。