写真集『必死すぎるネコ』が、何度も見直したくなる理由って?

9月15日に発売された沖昌之さんの最新写真集『必死すぎるネコ』、もうご覧になられたでしょうか?Amazon.co.jpのカスタマーレビューでは、9月27日時点で15人の方がレビューを投稿されており、全員が5つ星評価をしています。そして、投稿されたレビューには、何度も見たくなるという声も。

写真集『必死すぎるネコ』
沖昌之さんの最新写真集『必死すぎるネコ』

この高い評価の理由はどこにあるのでしょう。沖さんにお話しを伺いながら、考察してみました。沖さんによる「奇跡の一枚」と、それを盛り上げる練りに練られた構成が、人気の秘密のようです。

写真集『必死すぎるネコ』
腹筋ネコ
「倒れるだけで腹筋ワンダーコア~♪」

■沖さんによる「奇跡の一枚」
沖さんの写真を初めて見た人は、「奇跡の一枚」が、何十枚もあることに驚かれるでしょう。例えば、ネコがジャンプする姿。これ自体、それほど珍しいものではないのですが、その瞬間にシャッターを切れるというのは奇跡的なことです。

写真集『必死すぎるネコ』
草のてっぺんにいたトンボを捕まえようと、必死でジャンプしたネコ
自分の身長の何倍もの高さに飛んでいます
…このネコはこの後、前の川に落ちたそうです

この奇跡は、ちょっとしたおもちゃがあると、簡単に作り出せます。飼い猫とおもちゃで遊んでいて、ネコがジャンプするのを見た人は多いでしょう。その瞬間を撮影すれば、奇跡の一枚が撮れてしまいます。

でも、沖さんが撮影したジャンプネコは、そのような演出のないもの。例えばネコ同士のいざこざの結果ジャンプした、その瞬間を撮ったものだったりします。

『必死すぎるネコ』は、沖さんが奇跡の瞬間を待って、カメラを構えて過ごした膨大な時間をも感じさせてくれる写真集でもあります。

■練りに練られた構成1 - ネコという文字で綴られた物語
『必死すぎるネコ』という写真集の最大の特徴は、その構成にあると言えます。沖さんは、デザイナーである山下リサさんや編集者の方と、写真の選択と配置、流れについて納得いくまで話し合われたのだとか。この練りに練られた構成が、キャプションのまったくない写真集に物語を与えています。

例えば、『必死すぎるネコ』のあるページを開いたとしましょう。そこには、思わずクスッと笑ってしまう写真があるかもしれません。その次のページにも、同じように笑える写真が続くでしょう。笑って笑って、そろそろ表情筋が疲れ始めたなと思う頃に、今度はアクロバットのような鮮やかな動きをするネコたちが登場し始めます。その大胆な動きに驚きつつも、「猫だから、当たり前だよな」と思い始めたあたりで、今度は一見なんの動きもない写真がでてきます。この写真はなぜここに?…と手を止めて、ネコのいないあたりをじっくり見ると、あ~なるほど!というものがそこにあったりします。

写真集『必死すぎるネコ』
笑える写真の例:クルマをヘルメットのように被ったネコ
思わずクスっと笑えます

写真集『必死すぎるネコ』
アクロバティックな動きの例:ジャンプネコ
その鮮やかさに驚きます

その構成は、まるで老練な野球のピッチャーのよう。“速い球をより速く見せるため、外に逃げる変化球を効果的に使う”、ような構成で、見ている人を飽きさせません。

『必死すぎるネコ』の写真は、ある写真が別の写真の価値を高めるよう、考え抜かれて並べられています。日本語の文字こそありませんが、ネコという文字で綴られた何かを読み取ることができます。

写真集『必死すぎるネコ』
「へぇ~、娘さん、もうそんな年頃なのね~」

■練りに練られた構成2-インスタにはない付加価値
この構成は、写真集を買った人の満足度も高めています。書店の棚に並べられた数多のネコ写真集に手を伸ばし、でもレジまでは持って行かなかった人たちの中には、「インスタで見ればいいか」と、言い訳のように呟いている人も。沖さんのネコ写真も、実はインスタグラム上で無料で楽しめてしまいます。

でも、『必死すぎるネコ』に込められた“物語”は、インスタにはありません。これが、写真集を買ってよかったと、お金を払ってもよかったという満足度を高めています。

写真集『必死すぎるネコ』
「ねぇ、ボス。ほんとにこっちで良いんですかい?」

■練りに練られた構成3―大胆なトリミング
『必死すぎるネコ』に掲載されている写真には、大胆にトリミングされた作品が多く含まれています。例えばお馴染みの「ネコザイル」。オリジナル版と『必死すぎるネコ』掲載版を比較すれば、画面左側と上側が大きくカットされていることがわかります。

写真集『必死すぎるネコ』
画像左:オリジナルサイズの「ネコザイル」、画像右:『必死すぎるネコ』版「ネコザイル」

写真展などで大きなパネルで見る場合、写真はオリジナルサイズが一番です。でも、書店の棚に入れられて販売される写真集の場合、どうしてもサイズは小さくなりがち。このため、オリジナルのまま写真集に掲載すると、ネコが小さくてよく見えないということが起きてしまいます。

『必死すぎるネコ』では、大胆に写真をトリミング。これによって、小さな判型の中でもネコが良くみえるようになりました。

「でも、それでは、大事な部分が切れてしまっているのでは?」。そう思う人もいるかもしれません。ところがこの写真集では、トリミングにもこだわり、その結果、不思議と広がりを感じられる仕上がりになっているのです。また、トリミングしてはいけない部分は、そのまま残されています。

『必死すぎるネコ』
トリミングしてはいけない例:「てっぺんは、遠いニャ」

写真家の中には、自分の写真がトリミングされてしまうのを嫌がる人も。というより、ほとんどの人が、オリジナルサイズでの取り扱いを望んでいるといってよいでしょう。

でも沖さんは、今回はデザイナーの山下リサさんや編集者の方に写真の扱いを一任されたのだそう。この結果、小さな写真集が大きく見える仕上がりとなりました。

■その他の魅力1 ― ボリューム
ネコ写真集に対する不満の中には、「写真の数が少なかった」「同じような写真ばかりだった」「すぐに見終わった」というものがあります。

『必死すぎるネコ』の写真数は90枚。十分なボリュームがありますし、同じような写真は2枚とありません。そしてめくっていると、かならず心にひっかかり、ページをめくる手を止めてしまう写真にぶつかります。その写真でなぜ自分の手が止まってしまったのか、考えているだけでも時間は過ぎてしまいそう。この写真集に限って、すぐに見終わることはなさそうです。

写真集『必死すぎるネコ』
「クルマ、おいしいニャ」

■その他の魅力2 ― そのネコは、誰のものでもありません
『必死すぎるネコ』に登場するネコたちの多くは、お外ネコ。中には、外が大好きな飼い猫さんもいるみたいですが、基本的には誰のものでもないネコです。

ネコ写真集を見る人の中には、「人様の飼い猫を見て喜ぶのは、不倫気分がして気が引ける」という、真面目すぎる人も。そんな一本気な人にも、『必死すぎるネコ』はぴったりです。

写真集『必死すぎるネコ』
「その猫(ヒト)は誰にゃの!私のほかにも、いい猫(ヒト)いたの!!」

さて、そんな写真集『必死すぎるネコ』の著者である沖昌之さんは現在、町田マルイの「コミコミスタジオ町田」で写真展を実施中。トリミングされていない、オリジナルサイズのネコたちを楽しめるチャンスです。また、10月1日には、サイン会も予定されています。

■『必死すぎるネコ』展概要
開催場所:町田マルイ6F コミコミスタジオ町田
開催期間:2017年9月21日~10月16日

サイン会は、2017年10月1日に開催。時間は第一部が13時から14時30分まで。第二部が15時から16時30分までです。沖さんの写真集やカレンダー『必死すぎるネコ』『ぶさにゃん』「好きな男を手に入れたければ、ネコ系女子になりなさい。』『2018 ぶさにゃんカレンダー』を購入した人が対象で、コミコミスタジオ町田で購入した人はもちろん、すでに別の書店で購入済みという方にもサインを入れてくれるそうです。

『必死すぎるネコ』写真展

『必死すぎるネコ』は現在、一部オンライン書店では品切れが続いていますし、街中の書店でもなかなか手に入りにくい状況にあります。でも沖さんによれば、コミコミスタジオ町田には在庫が確保されているのだとか。「Amazonに在庫がないなら、町田で買えばいいじゃない」という、マリー・アントワネット気分で町田にでかけてみてはいかがでしょうか?

なお、町田マルイでは、10月4日からは「世にも不思議な猫世界」&「必死すぎるネコ」展も開催される予定です。

■「世にも不思議な猫世界」&「必死すぎるネコ」展
開催場所:町田マルイ2F イベントスペース
開催期間:2017年10月4日~16日(延長の可能性あり)

「世にも不思議な猫世界」&『必死すぎるネコ』展