漕ぐエレベーター「Vycle」

「Vycle」は人力エレベーター。ペダルを漕ぐことで、階上/階下への移動ができる。英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業したElena Larribaさんを中心としたチームが発表したもので、階段やエレベーターに続く、第三のビル内移動手段となることを目指している。

漕ぐエレベーター「Vycle」
「Vycle」は人力エレベーター
第三のビル内移動システムを目指す

コンセプトは“垂直移動する自転車”。移動手段として非常に高い効率を持つ自転車を、ビル内での移動にも活用できないかと考え、生まれたアイディアだという。


漕ぐエレベーター「Vycle」
「Vycle」のコンセプトは“垂直移動する自転車”

平地での“徒歩”をビル内移動に当てはめると「階段」となる。自動車などは「エレベーター」にあたる。だが自転車にあたるものはビル内移動には存在しない。そこにチャンスがあるとLarribaさんは考えたそうだ。

漕ぐエレベーター「Vycle」

階段はビル内容積で大きな割合を占めているが、垂直移動手段としては必ずしも効率が良いものではない。エレベーターは階段よりも効率は高いが、電力がなければ動作しない上に、メンテナンスに費用がかかる。

「Vycle」であれば狭いスペースに設置できるだけでなく、電力がなくても使用できるうえに、メンテも比較的簡単と、階段とエレベーターの問題点をほぼ解消できる。

公開された「Vycle」プロトタイプでは、ギア比は10%に設定されているという。体重70キロの人が「Vycle」で上階に向かう場合、7キロの力でペダルを漕げばよい。

漕ぐエレベーター「Vycle」
体重70キロの人は、7キロの力でペダルを漕げば階上に着ける

利用シーンとしては、オフィスの共有スペースへの移動ツールなどが考えられるという。数年前に、Googleのスイスオフィスに滑り台が設置されていることが話題になったが、あの滑り台同様、共有スペースに集まるための移動手段として「Vycle」が採用されれば、楽しいオフィス空間が作り出せるかもしれない。

漕ぐエレベーター「Vycle」
参考画像:Googleのオフィス内に設置された滑り台

漕ぐエレベーター「Vycle」
利用例:オフィス内の共有スペースへの移動手段として
自転車を使用した例

漕ぐエレベーター「Vycle」
案外、楽しそう?

より現実的なものとしては、エレベーターの設置されていない、欧州の古いビルへの設置も考えられるそうだ。そのような古いビルでは新たにエレベーターを取り付けるスペースが確保できないことがあるが、「Vycle」であれば取り付けられる場合もあるかもしれないという。

漕ぐエレベーター「Vycle」
エレベーターのないビルに「Vycle」を取り付けた例

その他、ビルを補修する際、足場を移動する手段として「Vycle」を設置するというのも考えられる。

漕ぐエレベーター「Vycle」
英国でも、建設業界で働く人材の高齢化が進んでおり
「Vycle」のようなツールが求められているそうだ

「Vycle」のプロトタイプがどのように動くかについては、以下の動画で確認されたい。