マダコの完全養殖
人工的に生産したマダコの稚ダコ(60日齢、体長2~3cm)

スシネタからたこ焼きの具まで使う「マダコ」。日本水産が完全養殖に成功したと発表した。

育てたマダコの卵からまた次のマダコを育てる完全養殖は、実用化すれば天然のマダコを捕まえたり卵を採集しなくても済むため、既存の漁業資源の減少などの影響を受けにくい。

日本水産によると、タコ類は国内で年間7~10万トンが流通しており、すべて天然もので、40~50%程度が国内産、残りは輸入品が占めている。非常に身近な水産物だが、養殖の技術は確立していなかった。

そうしたなかニッスイ中央研究所大分海洋研究センターでは以前からこの分野に取り組んでいたが、いくつかの課題にぶつかっていた。

天然のマダコは、卵からかえった「幼生」が海中をただよってから海底に定着し、成魚のマダコと同じすがたの稚ダコに成長する。養殖する場合、この幼生がうまく海底に定着せずに死んでしまう場合が多かった。

そこで(1)親ダコから安定して卵を採れる技術の開発、(2)幼生をうまく飼育する環境の整備、(3)稚ダコの飼育にぴったりした餌料の開発を進め、課題を解決した。

2015年には少数ながらも幼生から稚ダコを育てることができ、2016年には幼生数千尾のうち数十尾が稚ダコになった。さらにこれらの稚ダコから育った成魚が生んだ卵が2017年4月に孵化して数万尾のマダコ幼生が得られたという。

完全養殖を実用化するためには、幼生から稚ダコになれる割合をもっと増やさなくてはいけないし、さらに稚ダコ初期の育成技術を向上する必要がある。

ただ最も難関となっていた幼生から稚ダコまでの飼育特性を把握できたことなどは、完全養殖マダコの量産化に向けた大きな一歩といえるそう。

今後は、最終目標である天然資源に依存しない完全養殖マダコの安定供給をめざすそう。