
台湾でPC関連の国際イベント「COMPUTEX TAIPEI 2017」が開催となり、続々と登場した新製品や熱気のある展示内容が、古くからのファンに興奮をもたらした。最近はスマートフォンなどに押され気味だが、高性能化によって再び人気を増してくる可能性はあるのだろうか。
この頃はiPhoneやiPad、Androidスマートフォン、タブレットなどが普及し、以前はPCでなければできない作業を簡単に済ませられるようになった。結果としてPCの人気は下がり、調査会社のGartnerによれば、世界の出荷台数は過去5年連続で減少している。
かくしてもうPCは古い、これからの時代はもっと新しい機器が主流になっていく、といった論調も強くなっていた。
「2in1」と「ゲーミング」
劣勢のなか数年前からPCのメーカーは生き残りをかけて製品の大胆な改良に取り組み、Microsoftの「Surface」のようにタブレットとしても使える俗に「2in1 PC」などという持ち運びやすい機種を増やした。また「ゲーミングPC」といったゲームを遊ぶ性能を重視した機種により力を入れた。PCなどにさまざまなゲームを配信する「Steam」の成功も手伝って、専用ゲーム機以上の美しい映像を楽しめるとして好事家のあいだで支持を広げた。
COMPUTEX TAIPEI 2017ではその成果がまたさまざまなかたちで登場している。Intelが作ったPCの頭脳というべきCPUの新製品「Intel Core i9」はそれぞれが計算を担う「コア」を最大18個も備えており、従来のPC、スマートフォンのCPUのコアがたいてい多くても8~12個程度なのを考えると、ちょっぴり驚く仕様だ。企業の情報を管理するデータセンターのような特別な施設で使うかと思えば、そうではなく家庭向けのゲーミングPCなどに搭載するのだそう。

軽くて持ち運びやすい2in1 PCとしては、ASUSTeK Computerの「ZenBook Flip S」などが話題となった。13.3型ディスプレイを搭載しているが、厚さは10.9mm。重さは1.1kg。キーボードを広げて事務作業もできるし、たたんでタブレットのように画面を指やペンで触れて操作できる。画面解像度は4K UHD(3,840×2,160ドット)と高精細で、CPUは最新のIntel Core i7、メモリー容量は16GB、ストレージ(SSD)容量は1TBと非常に高性能だ。

復活は2018年?2019年?
ただ、高性能な新製品が人気を集めたとしても、全体として古いPCを使っていた層が離れてゆき、すっかり手軽で身近になったスマートフォンやタブレットだけを利用する傾向はすぐには止まらないのではないか、という気もする。調査会社IDCはしかし5月、2019年にはPCD(従来のPCと2in1などを合わせたもの)市場は拡大傾向に戻ると予測している。2in1 PCの中でも本体からキーボードを取り外して携帯できる機種が人気を高め、後押しするというのだ。

(出典:IDC)
またGartnerは1月時点で2018年には企業などがWindows 10を搭載したPCへの買い替えを進めるため、出荷台数が回復していく可能性があるとしている。さらに仮想現実の世界の没入できるVR機器は、PCと組み合わせて使うことが多く、家庭向けでも高性能な機器の需要が増すかもしれない。

もちろんPCが進化によっていったん好調に戻ったとして、ずっと続くかどうかは分からない。スマートフォンも進化を続けるし、新たな機器が台頭してくる可能性もある。しかしPCが今後しばらく、にぎやかでいるのは間違いなさそうだ。