
「E-SILENCE EVO」は、“電動アシストに見えない”電動アシスト自転車。自転車のほか、スキー用品や自転車用品を扱うSCOTTが開発した。

SCOTTの「E-SILENCE EVO」
いわゆる“電動アシストに見えない”電動アシスト自転車では、リアハブモーターを採用したタイプが増えている。これらは、一見ダイナモにしか見えない小型のリアハブモーターと、フレーム内に隠されたバッテリーにより、電動アシストに見えないルックスを実現している。
だが「E-SILENCE EVO」では、ミッドドライブモーターを採用。ミッドドライブの良さを維持しつつ、美しい外観の獲得に成功した。

その秘密はBroseのドライブユニット。優れたパワーウェイトレシオを持つこのモーターは、重さわずか3,400グラムでありながら、高い出力を発揮する。内部ソフトウェアは、「E-SILENCE EVO」で最高のパフォーマンスを発揮するようチューニングされた。

メイドインジャーマニー
バッテリーはダウンチューブに組み込まれた。SCOTTの要求に合わせてBroseがカスタマイズしたもので、これも美しいデザインの実現に貢献している。

リアハブモーターと比較した際のミッドドライブモーターのメリットとしては、耐久性が高いというものがある。さらに、リアハブモーターではモーターの重みがリアホイールに集中するため、スポークが折れやすくなるケースも。だがミッドドライブモーターであれば、このようなことはあまり発生しない。
また、ミッドドライブモーターには、バイクにおける「マス集中化」に近いことが実現されるというメリットもある。運動性能が高まり、より自然な乗り味を楽しめるのだ。

フロントとリアに分散される
さて、「E-SILENCE EVO」が開発された目的は「街の騒音公害を減らす」こと。通常の電動アシスト自転車よりも静かに走れる機能が搭載されたのかと思いスペックを読み込んでみたが、そのような機能についての記載はなかった。
SCOTTが目指しているのはどうやら、クルマで通勤している人が「E-SILENCE EVO」での通勤に切り替えることで、街が静かになる、ということのようだ。ミッドドライブによる上質な乗り味や、電動アシストに見えない美しいデザインでクルマ通勤者の目を引き付け、実際に乗った人を魅了する、という戦略らしい。

とはいえ最上級レベルのモデルには、ドライブトレインにベルトドライブが採用されており、チェーンモデルよりも幾分静かに走れるようにはなっている。

その他、面白い機能としては、本体に備え付けられたロックがあげられる。自転車用ロックの持ち運びは案外面倒なもの。サイクリストにとってはなんでもないことかもしれないが、クルマから乗り換えた人にとってはかなり鬱陶しいだろう。「E-SILENCE EVO」のように本体に搭載されていれば、いわゆる“ママチャリ”のシリンダーキーを使うような感覚で駐輪ができ、便利かもしれない。


日本での取り扱いについてSCOTTに問い合わせたところ、残念ながら「E-SILENCE EVO」の日本発売はないとのことだった。
