“ネコノミクス”って、本当なの?…猫壱がネコビジネスを成功させた3つの秘密

いま熱いと言われる“ネコノミクス”。でも、その実態はどうなのでしょう?「ネコでひと儲けした」なんて人、まわりにいます?見たことないという人がほとんどではないでしょうか?

ネコグッズを開発・販売する「猫壱」は、そのネコノミクスの波に乗っている企業のひとつ。でもその成功の秘密は、単にネコグッズを売っているから、というわけではありませんでした。

猫壱がネコビジネスで成功している理由を、同社代表取締役社長である竹内さんに伺いました。「独自開発の商品」「独自のマーケティング」、そして「独自の世界展開」がその秘密のようです。

“ネコノミクス”って、本当なの?…猫壱がネコビジネスを成功させた3つの秘密っ
猫壱代表取締役社長の竹内さん

■理由その1:独自開発のネコグッズ
猫壱で販売されているネコグッズは自社開発のもの。その特徴は、ネコが使いやすい構造と、飼い主が喜ぶデザインにあります。インターネットコムでは、まずは猫壱の主力商品のひとつ『脚付きフードボウル』の特徴について竹内さんに尋ねました。

竹内さん:「『脚付きフードボウル』には、ネコが楽に食事のできる高さの脚が付いています。脚が付いていることで、食事のとき、頭と喉を下に向けなくて済みます。ネコは比較的食道がまっすぐで食道に入ったフードが戻りやすいのですが、高さのある食器であればフードの逆流が減り、ネコの負担が軽減されます」

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ネコが楽に食事のできる高さの脚が特徴
『脚付きフードボウル』

竹内さん:「素材とデザインにもこだわっています。『脚付きフードボウル』の発売当時、ネコ用食器はプラスチックやメラミンが主流でしたが、私たちはネコを飼う人には自然素材にこだわる人が多いことを知っていました。それで、電子レンジでも使え、割れにくい素材である「磁器」を採用したのです。

デザインについては、私の名刺裏の写真をご覧ください。この写真のような部屋に置いても違和感のないデザインを目指しています。ネコの食器というと、カラフルでポップなものが多いのですが、私たちはシンプルで、毎日使い続けることでより愛着をもてる、そんなデザインを目指しています」

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この部屋に似合うネコグッズを目指しているそうです

脚付きフードボウルの良さは、自分がネコになったつもりで、手を使わずに食事を取ってみると実感できます。ある程度高さがないと、食べにくいのです。ネコビジネスで成功するには、ネコとその飼い主の両方が満足する商品を生み出すことが、最初のステップとなるようです。

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「高さがあると、食べやすいニャ」

■理由その2:独自のマーケティング
独自開発した製品があっても、大企業が似たような商品を出して市場に参入すれば、スタートアップ企業は資本力で圧倒されてしまいます。猫壱が他社と競合する上での武器とはなんでしょうか?

インターネットコム:「ネコ関連市場には、花王などのビッグプレイヤーがいます。そのような大手と戦う上での猫壱の強みを教えてください」

竹内さん:「弊社が参入しようとしているカテゴリーにおいては、詳細なマーケティングデータが存在しません。

ペットフードやペットシートのような消耗品については、マーケティングデータが存在するのかもしれません。でもネコ用食器のような、一度購入すれば、ユーザーがその後しばらく購入行動を起こさないような商品についてのデータは存在しない。ニッチな市場なので、誰もデータを取っていないのです。

例えばネコを飼っている人たちがどんなデザインの食器を欲しているのか、ネコはどんな高さでどんな素材の食器を喜ぶのか、どのくらいの頻度で買い替えが必要になるのか。私たちはそういったデータを持っており、データをもとに製品開発をしています。これが猫壱の強みです」

竹内さんはデータの一部を見せてくれました。残念ながらデータは企業秘密でここでは紹介できませんが、データは他社に対するアドバンテージになるのは間違いないと思えるものでした。

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猫壱の強みについて語る竹内さん

SNSでの発信力も、猫壱の強みだと竹内さんは続けます。

竹内さん:「猫壱ではInstagramとFacebookに力を入れていて、Instagramでは1万4,000以上、Facebookは3万1,000以上の人が、フォロワーになってくれています(注:数字はいずれもインタビュー実施時点のもの)。猫壱ではSNSでユーザーに情報を発信すると同時に、製品を購入してくれた方からの要望を受け取り、それを製品開発に反映させています」

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InstagramやFacebookなど、比較的画像に強いSNSを活用

■理由その3:グローバルニッチ
猫壱の強さは、独自の製品に加え、独自のマーケティングにあることがわかりました。でも、そのターゲット市場はニッチなものであることも事実。やがて、飽和してしまうのではないでしょうか?

猫壱は世界に打って出ることで、この問題の解決を目指すようです。

インターネットコム:「猫壱は、『グローバルニッチマーケットで1番になる』ことを目指しているそうですが、これはどういう意味でしょうか?」

竹内さん:「私たちはネコグッズを日本でだけでなく、海外でも展開しています。例えば米国のAmazon.comでは、猫壱の『脚付きフードボウル』が、ネコ給餌器の分野で売り上げ1位になっています。

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米国Amazon.comで1位!
購入者による評価も星5つがほとんど!

日本の飼い猫の数は、世界でも5本の指に入ります。そこで生まれた日本のネコ文化は世界の最先端にある、というのが私の仮説でした。であれば、日本で評価されたネコ用品は、世界でも受け入れられるはずと考え、米国での販売に踏み切りました」

ネコ用品は米国でもニッチな市場。だがニッチであっても、世界中のニッチを抑えてしまえば大きなビジネスになる。これが「グローバルニッチマーケットで1番になる」ということの意味なのだそう。そして、これはネコ用品だからこそ成り立つものだそうです。

竹内さん:「犬は犬種によって、サイズがかなり異なります。でもネコのサイズは、一部を除いて、世界中どこでもほぼ同じなのです。日本で開発した食器は、そのまま世界のほとんどの場所で通用します」

ネコビジネスには、ネコが相手であるゆえの大変さと、ローカライズが不要というビジネス上のメリットの両方があるようです。

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グローバルニッチマーケットについて語る竹内さん

■ネコノミクスはネコを幸せにする?
ネコ好きの中には、ネコブームや、それに起因するネコノミクスに対する懸念を表明する人も、少なからずいます。ブームが去ったあと、不幸になってしまうネコがいるのではと心配しているのです。

その可能性は否定できないでしょう。でも、ネコノミクスによってネコのQOLが向上している面があるのも確か。例えばかつてネコの食器といえば、人の食器のおさがりが当たりまえでした。ネコ専用の食器を買うという発想を持っている人自体が少なかったのです。猫壱の『脚付きフードボウル』のような、ネコのための食器が開発され、それが流通する市場が生まれたのはネコノミクスのおかげともいえます。

だとすれば、ネコノミクスは、現時点ではネコを少し幸せにしてくれる、悪くないものなのかもしれません。

少なくとも、竹内さんの飼い猫たちは、猫壱のグッズに囲まれて、幸せに暮らしているみたいです。

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「幸せって、おいしいニャ」