
「Senstone」は音声メモ用のウェアラブルデバイス。通勤中や散歩中、ジョギング中に思いついたアイディアなどを、ワンタップするだけで、音声で残すことができる。

ワンタップで録音できる
手帳への手書きや。ノートPC・スマートフォンへのテキスト入力ではなく、音声を録音することでメモをしている人は案外多い。映画『ツイン・ピ-クス』に登場したカイル・マクラクランさん演じるクーパ捜査官が、マイクロカセットレコーダーに「ダイアン」とボイスメモを残していたシーンを覚えている人も多いだろう。
だが、音声メモには検索性が低いという欠点がある。手書きのメモなら、メモ帳をざっと眺めれば求めているメモを簡単に見つけられる。だが、音声だと、ひとつひとつ聞いていかなければならない。
「Senstone」はこの問題を解決してくれるボイスレコーダー。録音した音声を自動で文字に起こし、スマートフォンアプリ上に表示する機能を持っている。これにより、検索性が高まり、ICレコーダーなどより素早く目的のメモを検索可能となった。

ウェアラブルタイプなのも「Senstone」の強みだ。例えば、運転中など手が離せないときに、誰かにメッセージを送らないといけないことに気づいたとしよう。この状況では、スマートフォンをポケットから取り出すのは無理だ。だが「Senstone」を使ってボイスメモを取っておけば、メッセージを送ることを忘れなくてすむ。目的地や安全な場所に着いたら、運転中にメモした内容を、メールなどで送ればよい。

などと音声メモに残しておき

犬、ひと安心
ユースケースとして、開発元はグルメブロガーの使用をあげている。グルメブロガーは、レストランなどで食事をしたあと、家に戻ってからそのメニューについて書く。このとき、食べ物の外見は写真に撮っておけば、あとから写真を見ながらその特徴などを思い出せる。だが、味や使われている面白い食材などについては、忘れてしまうこともある。そんなとき、「Senstone」のボイスメモでメニューの特徴を録音しておけば、思い出すのが簡単になるだろう。

ユースケースその2は、夢の内容の記録。「Senstone」をドッキングステーションに接続していると、指をパチンとならすだけで録音を開始する機能を使用できる。この機能を使って、面白い夢を見たときにその内容を録音するのだ。メモ帳を探したり、PCのスイッチを入れたりしていると、夢の内容を忘れてしまうが、指をならすだけなら、忘れることはないだろう。

「Senstone」はスマートフォンが身近にない場合には、本体に音声メモを保存しておくこともできる。この機能は、ジョギング中など、スマートフォンを身に着けておけない状況で便利だ。最大で2時間半分の音声メモを録音できる。録音した音声メモは、後でスマートフォンアプリに転送可能だ。

気になるのは、音声認識の精度。開発元によれば、音声認識エンジンにはNuanceの技術を採用しているという。このため、音声認識の精度はSiriとほぼ同じレベルだと、開発元は主張している。
Siriと同じレベルということは、専門用語が混ざるような音声の認識・書き起こしにはあまり大きな期待はできないかもしれない。だが多くの音声メモから、目的の音声メモを探す際の手掛かりには使えそうだ。

開発したのは、米国サンフランシスコに本拠を置くSenstone。同社は現在「Senstone」の市販化に向けてクラウドファンディングサイトkickstarterで出資者募集のキャンペーンを実施中。本稿執筆時点では、100ドルの出資で「Senstone」を一つ入手可能だ(日本への送料が別途15ドル必要)。入手に必要な金額はキャンペーンが進むにつれて上昇し、終了後の市販価格は145ドルとなる。出荷開始は2017年7月に予定されている。
