北極海の氷の下に広がる幻想的な光景を、「水中ドローン」とでも呼ぶべき小型の自律型無人潜水機が撮影に成功した。
海洋研究開発機構(JAMSTEC)は8月から10月にかけて、海洋地球研究船「みらい」を北極海に送り、無人潜水機の試作機「Retrievable Arctic Icy edge observation Vehicle:RAIV」を自律航行させ、観測を行った。日本初の取り組みだ。
RAIVは全長約1.9m、重量27kg程度と小型で、2人がかりで投入と引き揚げを行う。
カメラが収めたのは海氷の下で多数のプランクトンが活動するようすや、海氷の裏側の形状などだ。
特に夏に溶けきらず数年のあいだ海の上を漂いつづける「多年氷」の裏の形状は複雑で、無人潜水機で接近する際は、何らかの対策を講じなければ、場合によって機体がつかまり、出られなくなる恐れもあると分かった。
また水温の低さによって機器の異常も生じるなど、さまざまな課題が明らかになっている。
今後はRAIVのデータをもとに本格的な北極海観測用の無人潜水機を開発する計画だ。