AlphaGoとDeepZenGo
囲碁を打つ2つのコンピューターシステム

人工知能(AI)技術を応用し、囲碁を打つコンピューターシステムとして注目の的となっているGoogleの「AlphaGo(アルファ碁)」と、ドワンゴの「DeepZenGo(ディープゼンゴ)」。いったいどちらが強いのか、直接対決は実現するだろうか。

まず双方の実力に対する評価を見よう。有志が算出する世界ランキング「Go Ratings」によると、11月29日現在、AlphaGoは2位であるのに対し、DeepZenGoは411位と大きな開きがある。


Go Ratingsのスクリーンショット
有志による世界ランキング「Go Ratings」ではまだ大差(2016年11月29日時点)

もっともDeepZenGoは後発で、今後強さを証明していく段階。11月下旬にドワンゴ主催の「囲碁電王戦」で人間の著名棋士である趙治勲氏と健闘して1勝2敗の成績となり、2017年3月には日本棋院主催の「ワールド碁チャンピオンシップ」で目下、日本最強の棋士とも言われる井山裕太氏らとぶつかる予定だ。

ではDeepZenGoが人間の棋士相手に対局を重ね、世界ランキングの順位を高めさえすれば、AlphaGoとの直接対決は近づくだろうか。

そう単純ではないだろう。AlphaGoは2016年1月に韓国の著名棋士である李セドル氏を圧倒したあと、世界ランキング1位である中国の柯潔氏と真の頂点を決めるよう求める声がちまたで高まりながら、かたちにしなかった。それどころか11月には、開発元であるGoogle傘下のDeepMindがコンピューターゲーム「StarCraft II」の攻略を打ち出すなど、最近は別分野に興味を移してしまったかのようだ。

DeepMindのビジョン
最近、AlphaGoの開発元DeepMindは「StarCraft II」などのゲームに関心

またAlphaGoは以前ほかのコンピューターシステムと対局して「500戦中499勝した」などと喧伝してはいるものの、ハードウエアなどの条件をそろえてシステム同士が腕前を競うような公式の大会に積極的なようすも見られない。

こうして見ると、日米対決の実現には課題が多そうだが、果たしてよい方策はあるだろうか。DeepZenGoはもともとAlphaGoに対抗する意味合いもあって開発が進んできたシステムだけに、ドワンゴや日本棋院の妙手に期待したい。