日産自動車は、「自動運転」するイスを発表した。レストランなどで入店待ちをする際、座っているだけでいつの間にか順番が進み、一番前に着く。あくまでクルマの宣伝のために作ったというが、単体で実用化して欲しいと思えるできばえだ。
究極の乗り物か
今クルマ業界の流行といえば、人間が何もしなくても目的地へ行ける自動運転や、個人が手軽に利用できる超小型の乗り物がある。自動運転イスはその2つを1つにした究極の姿と言えるのではないだろうか。
日産がこのほど披露した「プロパイロットチェア」は、まさにそうした可能性を感じる。
新型ミニバンなどが採用する自動運転システム「プロパイロット」から着想を得ている。プロパイロット搭載車が先行するクルマを認識し、一定の距離を保ちながら走るように、プロパイロットチェアも先行するイスを認識し、ぶつからずに動く。また指定したルートを自動でたどることも可能だ。
以前はもとの場所に戻るイスも
日産といえば以前から変わったイスを好み、2月にも駐車アシスト技術から着想を得て、使ったあと自動でもとの場所に戻る「インテリジェントパーキングチェア」を発表している。
いずれも実際のイスの制作を、先端技術などを生かした宣伝を得意とする企業BIRDMANが担当している。
実用化はしない?
ところで本田技研工業(ホンダ)はすでに、自動で走るイスのような超小型モビリティ「UNI-CUB β(ユニカブ ベータ)」などをイベントに貸し出すなどしている。日産の自動運転イスも、同様に実用化の考えはないかと問い合わせたところ、あくまでクルマの自動運転を宣伝するための取り組みで、恒常的な何かをするつもりではないとの回答があった。
とはいえ期間限定のキャンペーンとしてであれば、プロパイロットチェアを実際にレストランなどへ無償で貸し出す予定はあるという。12月27日まで、使ってみたいという店舗を募集している。Twitter、Facebook、Instagramで「#NissanProPilotChair」「#Wanted」 とハッシュタグを付け、店舗情報が分かるURLなどを記載して投稿すれば参加できる。
なお10月2日までは、神奈川県横浜市にある日産グローバル本社ギャラリーでもプロパイロットチェアを展示中。体重80kg以下の人であれば誰でも座って機能を試せるそう。