人工クモの糸を使ったシート
トヨタが開発した、人工クモの糸を使ったクルマのシート

軽量、強靭(きょうじん)でしなやかな「人工クモの糸」を一部に使ったクルマのシートを、トヨタ自動車が開発した。コンセプトモデル「Kinetic Seat Concept」としてフランスのパリ・モーターショーに出展する。

背面がクモの巣のような模様になっているのが目を引く。変形が容易な網状にし、座る人の身体の凹凸を包み込み荷重を分散させ、長時間運転しても疲れないようにする狙い。またシートを薄く、軽くする意味もある。さらに裏側には日本のベンチャー企業であるSpiber(スパイバー)の開発した素材「QMONOS」を採用している。


クモの巣状のデザイン
クモの巣状のデザインで荷重を分散

微生物発酵によって原料となるクモの糸の主成分であるタンパク質を生成し、紡糸、加工した繊維で、衝撃吸収性(タフネス)に優れている。

人工クモの糸の写真
鋼鉄より強くすることも可能な繊維という(出典:Spiber)

これに加えデザインの工夫によって、クルマが旋回したり凹凸のある路面を走行したりした際、乗っている人の頭部の動きを抑えて目線を安定させ、運転しやすくする。

このほか腰の動きに合わせて座面と背面が動き、歩行やジョギングに近い適度な刺激を与えるため、長時間運転時の筋肉の疲労をおさえられるそう。