セイコーの高級腕時計
チタンは、酸化被膜の厚みでグラデーションを作れる

頑丈で腐食しにくい金属として人気のチタン。強靭(きょうじん)なばかりではなく、表面をうまく酸化させると、不思議な色彩を生み出せるという。セイコーウオッチはその特性を生かし、夜明けの空のような腕時計を作った。

チタンは、薬液にひたして電気を流す「陽極酸化処理」を施すと、表面に酸化被膜という薄い層ができる。この酸化被膜は厚さによって光の屈折率が異なる。


つまり一枚のチタンの板でも、部分部分で酸化被膜の厚みを変えることで、青、紫、赤、橙、黄と見栄えを変えられ、互いに混じり合うグラデーションを生み出せる。塗装でもめっきでもなく、チタンそのものの色だ。

セイコーの腕時計では、シースルー仕様の裏ぶたから見られる回転錘にチタンを採用し、闇を切り拓いて暁の光が昇っていくさまを表現している。チタンならではの高弾性、振動吸収性も備えている。

なお文字盤には細かな放射模様を施し、深い赤色を重ねている。セイコーの雫石高級時計工房から望む、朝焼けの岩手山の尾根をあらわしている。

文字盤が表現した岩手山の尾根
文字盤の模様は岩手山を表現

ケースとバンドはどちらもステンレススチール。

ステンレススチールのケースとバンド
ケースとバンドはステンレススチール

この夜明け色の腕時計は、高級モデル「グランドセイコー メカニカルハイビート36000 GMT」をベースにしており、セイコーの設立135周年を記念した特別仕様として11月11日に発売する。希望小売価格は70万円(税別)。