
米航空宇宙局(NASA)の7月下旬の報告によると、環境観測衛星「SMAP」は、台風や熱帯低気圧を監視するのにも役立つ可能性がある。実際、太平洋東部の熱帯低気圧「Estelle(エステル)」の風を観測するのに有効だったという。
SMAPは2015年に米国が打ち上げた衛星。Soil Moisture Active Passiveの略称。「アクティブ・レーダー」と「マイクロ波放射計」を組み合わせ、地球のどこであれ地表5cmほどの水分量を観測できるよう設計してある。
一方、海面の塩分を推測することもでき、応用すれば熱帯性低気圧やハリケーン(日本で言えば台風)の風を観測するといった目的に役立つ可能性があると、あらためて示した。
I may love soil moisture, but I can also estimate ocean winds! https://t.co/1ml84Ww96m #EarthRightNow pic.twitter.com/xpqeVFnuBN
— NASA SMAP (@NASASMAP) 2016年7月26日
実際SMAPは、エステルが活発だった7月19日に、秒速30mの風を観測することに成功している。

SMAPについては2015年、搭載する重要機器の1つであるアクティブ・レーダーの故障が起き、「復旧を断念した」という報道が注目の的となったが、マイクロ波放射計は健在。衛星の機能は完全に失われず、NASAは運用継続を表明していた。