
船と船とが近づきすぎたり、浅瀬に入り込みそうになると、乗っている人のスマートフォンが警告を発し、事故を防ぐ、という実験を国土交通省が計画している。航行支援に役立つアプリケーションとその活用方法について、ガイドラインをまとめる考え。
国交省によると、日本周辺の海では毎年2,000隻以上が事故を起こしているが、7割以上が小型の船によるもの。例えば遊漁船の船長が釣り客との会話に夢中になって見張りをおこたるとか、近づいてくる船の方が避けてくれると思い込む、といった具合だ。
今回はこうした層に、ほかの船の接近や、危険な海域を警告できるアプリを普及させるのが狙い。

仕組みとしては、船に積んでいる自動識別装置(AIS)の情報を利用したり、スマートフォンのGPS機能をいかしたりし、船の位置や進行方向、速度などを把握し、トラブルを予測する。
10月ごろから実験をはじめ、2016年度内にアプリの要件をガイドラインとしてとりまとめる予定だ。

すでに国交省は関係者を集めた会議を開催している。
鳥羽商船高等専門学校、弓削商船高等専門学校、ブリスコラ、富士通、日本無線、海上技術安全研究所など、関連分野にたずさわる企業や組織が国内外のさまざまな資料や事例を紹介している。