NTT コム オンライン・マーケティング・ソリューションが運営する NTT コムリサーチの「映画館での映画鑑賞」についての調査によると、1年以内に映画館で映画を鑑賞した人の割合を示す「映画鑑賞率」が最も高かったのは10代女性で、66.3%だったという。

映画興行をけん引のカギは”誰かと一緒に観に行く”女性層
性別、世代別の映画鑑賞率

全体の映画鑑賞率は41.5%で、昨年の調査から2ポイント減少した。一方、10代女性の鑑賞率は上がっており、年間2本以上映画を見る複数回鑑賞者が8割を占める。映画鑑賞率は男女ともに10代が最も高く、世代が上がるほど減少する傾向があり、70代男性は22.7%、70代女性は28.4%だった。

性別複数名鑑賞者の割合
性別複数名鑑賞者の割合

全体の映画鑑賞率は男性より女性のほうが高いが、その背景には「誰かと一緒に観に行く」という複数名鑑賞者の割合が、男性(64.5%)よりも女性(74.6%)のほうが多いという理由が考えられる。また、「女性にウケる映画はヒットする」という説があるが、鑑賞後に映画について直接口頭で話した割合は女性が63.9%で、男性の41.1%を上回り、女性が映画の口コミを広めるインフルエンサーとしての役割を果たしていることがわかった。

映画館で映画を鑑賞する理由
映画館で映画を鑑賞する理由

また、映画を観る方法が多様化するなかで、映画館で映画を観る理由は「大きなスクリーンで観たいため」が68.3%と最も多かった。2番目に多かったのは「いち早く観たいため」(33.6%)だが、こちらは年代別に傾向が分かれており、若年層からの回答が多くみられた。

ジャンル別鑑賞者の割合
ジャンル別鑑賞者数の割合

次に、直近1年以内に映画館鑑賞者が観た映画ジャンルについての調査では、「邦画のみ観た」が41.4%、「邦画と洋画どちらも観た」が40.8%、「洋画のみ観た」が17.8%であり、昨年の調査から「邦高洋低」の傾向が続いているという。また、実写とアニメの区分では、20代女性を中心に「邦画実写」の鑑賞率が高く66.3%にのぼるが、昨年ヒットしたタイトルの上位10位以内にアニメタイトルが5本を占めており、20代男性の「邦画アニメ」鑑賞率が69.0%と特に高い。「洋画実写」は、主にシニア層から鑑賞されているようだ。

最近のヒット作のなかで「アナ雪」は複数名鑑賞者が最も多い
最近のヒット作のなかで「アナ雪」は複数名鑑賞者が最も多い

最後に、「アナと雪の女王」の歴史的ヒットの背景を分析する調査では、鑑賞者全体の7割以上が、直近1年で映画を「1本のみ鑑賞」「2〜4本鑑賞」している「ライトユーザー」であることがわかった。また、同映画の鑑賞者数の78.5%が複数名鑑賞者であり、特に「家族連れ」の鑑賞率が3割を超えている。また、リピート鑑賞率が10%にのぼり、それらの特徴が動員数の増加に影響したとみられる。

調査は有効回答者3,103名のなかから男女別、10代から70代の各世代を均等に回収して実施した。

オンラインでの動画配信が一般的になりつつあるが、若い女性の間で映画鑑賞率が高いのは、何を意味するのだろうか。引き続き注目していきたいところだ。