最近、「インターネット党」を名乗る政党を世界でちらほらと見かけるようになった。いずれも変わり種が多く、話題性に事欠かない。

■Darth Vader 卿を擁する「ウクライナ・インターネット党」

まず激しい政治変動のただなかにあるウクライナでは、「ウクライナ・インターネット党(Internet Party of Ukraine:IPU)」が活動中だ。同国の著名なハッカー Dmitry Golubov 氏が2009年に立ち上げたこの党は、いわゆる「インターネット政党」の中では比較的古い歴史を持っている。

しかし IPU の名前が大きく浮上してきたのはごく最近。ウクライナ大統領選に、この党から映画「スターウォーズ」の悪役 Darth Vader 卿の扮装をした人物が出馬を表明し、選挙管理委員会に却下された一件だろう。

世界の「インターネット党」は珍妙ぞろい--ダース・ベイダーから FBI が狙う億万長者まで
著作権侵害など恐れるようすはない(出典:IPU)

Darth Vader 卿の扮装は同党の得意とするところで、たびたびパフォーマンスに利用している。

ちなみに党の方針は事務処理の電子化やコンピュータ教育の推進から、消費税に当たる VAT への反対まで多岐にわたる。

■FBI が狙うネット長者 Kim Dotcom が立ち上げたニュージーランド「インターネット党」

ニュージーランドの「インターネット党(Internet Party)」は2014年3月に立ち上がった。設立者はインターネットサービスで巨富を築いた Kim Dotcom 氏だ。公式サイトを開くと、本人の印象的な容貌が出迎えてくれる。

Kim Dotcom 氏は音楽や映画などの海賊版流通で悪名高いオンラインストレージ「Megaupload」で莫大な利益を上げたが、米国連邦捜査局(FBI)の手で同サービスは閉鎖。同氏もいったん FBI に協力したニュージーランド警察によって逮捕されたが、その後保釈されている。

党の方針としてはより低額なネット料金の実現や、ハイテク分野の雇用創出、政府によるネット監視の反対、TPP 反対などを掲げており、周知のために iPhone、Android 向けに専用アプリケーションまで出している。

■最近はどうなっている?日本の「インターネッ党」

そして日本にも「インターネッ党(Internet Party of Japan)」がある。

インターネッ党は当初話題になったが…
インターネッ党は当初話題になったが…

立ち上げ当初は大きな話題になったわりに、その後の党としての活動は地味であまり注目を集めない。とはいえ、代表の家入一真氏個人の活動は盛んだ。今後は同氏の活動を党と結び付けていけるかどうかが課題になってくるだろう。

候補擁立の予定がなかった練馬区長選では、世間の関心を呼ばなかったが、初陣となる6月の中野区長選までには何らかの存在感を示す必要がある。もちろん、Darth Vader 卿や、Kim Dotcom 氏を見習うという訳にも行かないが。

■海賊党だけがインターネット政党ではない

「インターネット政党」といえば、ちまたでは海賊党(Pirate Party)が最も著名だ。スウェーデンを中心に多くの国々に広がり、そのうちの1つであるドイツで党勢が急伸した、あるいは以前の規模に戻ったといった話題ですら、それなりの関心を集める。既存政党に劣らない影響力を持つ存在と考えられつつあるためだろう。

だが何も海賊党だけがインターネット政党ではない。インターネットそれ自体と同じように、奇妙で滑稽なところさえある泡沫の動きが無数にあってこそ、そこから優れたもの、役立つものが生じる可能性もある。今後も世界のあちこちで笑ってしまうようなおかしな政党が登場することに期待したい。