昭和22年に市民が主体の民間運動としてスタートした、赤い羽根共同募金。市民自らの活動を応援する「じぶんの町を良くするしくみ」として60年以上の歴史を持つ。読者の中にも、街頭募金や各家庭を訪問する戸別募金などの引き換えに、赤く着色した羽根をもらった経験がある方も多いはずだ。

平成23年度まで、65年間の募金実績総額は8,738億円。平成23年度の実績額は195億円に及ぶが、募金手法の行き詰まりや、市民における共同体意識の低下、寄付先の選択肢拡大などの複合的な原因を背景に、平成7年以降、募金額は下降の一途を辿っている。こうした状況を打開すべく、平成21年度からモデル的に、共同募金運動期間を拡大した募金増強の試みを行っているが、このコラムでは、山口県共同募金会での取り組みを紹介したい。

山口県共同募金会では、昨年4月から、「募金百貨店プロジェクト」なる企画を展開している。同会が募金の百貨店になり、出店者である企業からは、本業にメリットのある寄付つき商品・企画を提供してもらうというプロジェクトだ。企業からするとプロモーションと社会貢献に繋がり、顧客にも負担はなく、結果としてそれが地域福祉の課題解決のための財源となるという、三方よしの関係を構築できる。

出店企業の1つ、文房具メーカー、ゼブラ株式会社の「社会をよくする文房具プロジェクト」は山口県立大学の学生ボランティアとのコラボ企画で、同大学の赤い羽根学生ボランティア団体 MEP(未来を笑顔にプロジェクト)がデザインした“寄付つきボールペン”を製作・販売している。クリップを胸ポケットに付けると、赤い羽根をつけているように見えるデザインになっており、同大学の略称である「YPU」の文字やオリジナルキャラクターも描かれている。

大学内の売店では1本130円で販売し、1本につき5円をゼブラが寄付する。この趣旨に賛同した売店も、300本まで1本10円、301本から1本25円を寄付金に充当し、約4か月間で、1,000本分の2万500円の寄付に繋がっているという。MEP とゼブラはこの取組みのさらなる拡大に向け、新商品として7色の寄付つき蛍光ペンも開発。ボールペンとともに販売して、寄付金を地域福祉の財源として活用してもらう予定だ。

赤い羽根とゼブラの2者だけの企画にすることもできたが、あえて、山口県立大学とのコラボ企画に仕立てることで話題性を創出し、新聞掲載9回、テレビ放送6回というメディア露出も獲得した。さらにゼブラでは、他の「募金百貨店プロジェクト」参画企業と提携した、寄付つきノベルティ企画も実施している。提携企業は、ボールペンなど、ゼブラ製品で寄付つきノベルティを作り、それを自社のプロモーション・ツールとして活用する。企業がそのノベルティを配れば配るほど、つまり顧客が受け取れば受け取るほど、地元の市区町村の福祉が改善されるという仕組みだ。

例えば、ある布団店では、これまではタオルなどをノベルティとして使用してきたが、寄付つきボールペンに変更。顧客に1本配ると、ゼブラは5円の寄付を提供することになる。この会社では、従来に比べコストを安く抑えられるだけでなく、ゼブラとコラボしていることや寄付つきであることなど、ノベルティ自体に付加価値がつき、話題性を喚起することにも成功している。余談ながら、布団店というと悪質商法が頭に浮かぶ人もいるかと思うが、同社からの寄付は、被害にあった人を守るための仕組みづくりに活用されているそうだ。

この事例にみるように、山口県共同募金会では、消費者を直接ターゲットにした BtoC の寄付つき商品企画に止まらず、BtoB(出店社同士)にも目を向けたコラボを創出することにも重点を置いている。まさに、出店社すべてが Win-Win となるような場作りがベースにある、“百貨店”の本領発揮といえよう。予算ゼロのため、チラシ1枚から始まった「募金百貨店プロジェクト」。プロジェクト開始から約1年で、30社あまりが参画しているが、今後の動きから目が離せない。

執筆:長浜洋二
記事提供:株式会社ビデオリサーチインタラクティブ