IT 専門調査会社 IDC Japan が国内 HPC(High Performance Computing)市場における2012年上半期の分析と2012〜16年の予測を発表した。それによると、2012年の国内 HPC サーバーの市場規模は400億円で、2011年の565億円から29.1%大幅なマイナス成長になると予測している。

2012年国内 HCP 市場、「京」の反動で前年から大幅減少−IDC Japan 調査
国内 HPC 市場 HPC サーバーシステム別出荷額実績
(出典:IDC Japan)

IDC は HPC システムを価格帯で分類、5,000万円以上のシステムを「テクニカルスーパーコンピュータ」、2,500〜5,000万円未満を「テクニカルディビジョナルコンピュータ」、1,000万円〜2,500万円未満を「テクニカルデパートメンタルコンピュータ」、1,000万円未満を「テクニカルワークグループコンピュータ」と呼んでいる。

「テクニカルスーパーコンピュータ」は、2011年には富士通が独立行政法人理化学研究所向けに出荷した「京」などの大型案件の影響で前年比362%の大幅増を記録したが、2012年はこの反動が出ると予測。一方、システム価格が5,000万円以下のクラスはすべて2桁のマイナス成長だった。東日本大震災の影響で、企業の IT 投資が BCP 対策に向けられたのが背景とみている。

また今回の調査では、HPC サーバー市場に加え、HPC ストレージ市場の出荷額とストレージ容量についての調査も行っている。2012年の HPC ストレージ市場規模は88億円、総ストレージ容量は 155 PB になると予測している。HPC ストレージ市場では、従来の集中型のストレージ環境から、分散ファイルシステムを用いたストレージ環境に大幅にシフトしているという。HPC で問題となる I/O のボトルネックを比較的低価格に性能を向上させられるからだ。

国内 HPC サーバー市場の2011〜2016年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)はマイナス16.1%、HPC ストレージ市場の CAGR はマイナス3.3%と予測。また今後は、価格対性能比に優れた x86 サーバーを用いたクラスターシステムがさらに市場を牽引、HPC ストレージ容量は、2011年の134PB から2016年には531 PB になると予測している。

IDC Japan サーバー リサーチマネージャーの林一彦氏は以下のように述べている。

「2011年と2012年上半期の国内 HPC 市場は、HPC 専用モデルによる大規模案件が市場を主導した。しかし、HPC 専用モデルの主要顧客は、大学や官公庁の研究機関に留まり、一般企業の採用実績は非常に少ない。HPC 市場を広げるためには、HPC 専用モデルで開発された優れた技術を広く一般の企業に開放し、市場のすそ野を広げていく努力が、ベンダーだけでなく、大学や研究機関にも求められるだろう」