昨年12月、米有力コミュニケーション・コンサルタント、ブランズウィック・グループ(本社・ニューヨーク)は欧州や米国、アジアの476人の機関投資家(230人)、セルサイド・アナリスト(246人)を対象とした調査を行った。これによると、対象者の過半数がブログを読み、30%がツイッターを使い、4人に1人がソーシャルネットワークを利用しているという。「投資関係者の間でソーシャルメディアの利用は急速に浸透している」(ブランズウィックのレイチェル・スぺロ氏)。ソーシャルメディアに何か仕事に関連することが載れば、さらに調べたくなる。ブログなら57%、ツイッターで28%、SNS なら23%はこうした動きに出るのだ。

そして、ソーシャルメディアの影響は、機関投資家の投資決定にも及ぶ。ブログを読んでから投資決定するという回答は24%(6%増)、ツイッターを読んだ後で投資決定を行うという回答も12%に達する。こうした数字を見れば、「いまや企業が投資家関連の情報発信の分野でソーシャルメディアを本格的に採用するタイミングにある」(スぺロ氏)というのも頷ける。見逃せないのは、アジアで、ブログ(28%)、ツイッター(24%)、SNS(21%)などソーシャルメディアに掲載された情報は投資決定に結び付いているという点だ。ソーシャルメディアが投資判断に大きな影響力を持っているのだ。米国や欧州の場合、ブログでも(米国24%、欧州22%)、ツイッターでも(同4%、1%)SNS でも(同4%、7%)にとどまる。

この結果に、ドイツ IR クラブの創設者のパトリック・キス氏も、「インサイドIR」(2013年1月29日付)で「アジアで、ソーシャルメディアが情報チャネルとしてこれほど集中的に利用されていることは驚きだ。ソーシャルメディアでは、米国もアジアに大きく遅れている」と語る。では、投資家やアナリストは、すべてウェブの情報で足りると思っているのだろうか――。そうではない。投資判断や投資推奨を大きく左右する情報ソースとして、調査は、第1に「経営から直接入手する情報」(85%、複数回答=以下同じ)、次が「アナリスト調査」(60%)、3番目に「リアルタイムの情報サービス」とあり、各社のウェブサイトやヤフー・ファイナンス、ブルームバーグ、ソーシャルメディアなど「デジタルメディア」は14%だった。

キス氏が続ける。「投資家やアナリストが企業から直接入手する情報を第1とするのは驚きではない。直接入手する情報は、これまでもこれからも常にベストな情報ソースであり、生の情報である。しかし、CEO(最高経営責任者)に個別面談できるのは機関投資家だけだ。それだけに、ソーシャルメディアは、個人投資家の85%に情報をもたらす投資デモクラシーのツールになりうる」。そして、今後について、次のように指摘する。「企業情報の発信と浸透の変化は、とても時間がかかるものだが、今まさにそのブレークスルーが起ころうとしている。かつて企業はファクスを送付していたが、今はメールを配信している。次はツイートとなるだろう」。

執筆:米山徹幸

記事提供:株式会社ビデオリサーチインタラクティブ