過去連載の記事では、リワード広告出稿による効果的な新規ユーザー獲得手法や、更にプロモーション効果を最大化させるための Invite コードを利用した Google Play 内でのレビュー施策について解説を行ってきた。

このようなプロモーション効果最大化の施策の結果、「期待以上に多くの新規ユーザーを獲得することができた!」「非常に満足な結果を出すことができた!」となればプロモーションとしては大成功である。だが、それで終わりでよいのだろうか?今回はプロモーションのその先、新規ユーザー獲得後に実施すべき具体的アクションの一部を解説しようと思う。

■ プロモーションの目的は新規ユーザーの“獲得”だけ?

プロモーションという観点で考える時、どうしても新規ユーザーの獲得に目が行きがちになるが、“新規ユーザーが獲得出来た時点”はあくまでもユーザーの端末にアプリがインストールされただけの状態である。つまり、本来の目的であるアプリの利用者増加へのスタートラインにやっと立った状態である。

新規ユーザー獲得の先にあるもの
 
ある調査結果によるとユーザーの端末内には iOS で平均66、Android で平均18の無料アプリがインストールされているようだ。

この結果を受けて、「iOS より Android の方が競争が少なくて良い」と考える Android アプリベンダーもいるかもしれないが、Android 端末自体のメモリーの小ささや、プリインストールアプリの多さから、iOS と比較するとより激しい競争に晒される可能性が高いと考えるほうが妥当だろう。ともすれば、より厳しい競争の中で生き残るために、(若干表現が激しいが)釣った魚を離さないために何が出来るかを考える必要が出てくる。

■ リテンション施策の雄「プッシュ通知」

スマートフォンアプリのリテンション(再帰率)を高めるのに最も有効かつポピュラーな方法は、プッシュ通知である。理由は2点。端末に標準搭載されている点と、ユーザーが登録作業をする必要がなく、ただ許可をするだけで手軽に受信できる点だ。

プッシュ通知を行うことによるユーザーのアクションの変化は以下の通りである。※自社運営 Android アプリ「100円から即交換の得するアプリ Apptoyou」での調査データを基に調査。

訪問者数推移


課金者数推移

当アプリでは特にカスタマイズを行うことなく、Android の標準的なプッシュ通知機能を利用しているのだが、プッシュ通知の効果で起動ユーザーと課金ユーザーが共に50%増加している。リテンション効果は非常に高いと言える。

■ OS によるプッシュ通知の違い

だが、当アプリでも利用している Android の標準的なプッシュ通知は、iOS と比較すると劣る点がいくつかある。

・ユーザーへの届き方の違い
iOS の場合、ホーム画面にダイアログを表示させ、テキストを表示することが出来る。しかし、Android の場合は画面上部のステータスバーにアイコンが表示されるだけで、通知領域を開いて初めてテキストを表示出来るという仕様になっているため、iOS に比べてユーザーへ届くまでの距離が遠い。

イメージ

・許可設定の違い
iOS ではユーザーがアプリ毎にプッシュ通知の受け取り可否を任意に設定することが可能だが、Android の場合ユーザーが受信可否を設定することが出来ないため、アプリをインストールしている間、ずっとプッシュ通知を受けることとなってしまう。※Android4.1 からは端末により個別受信可否が設定可能となった。

そのため、プッシュ通知乱発に起因するアンインストールが発生しやすいため注意が必要だ。特に配信時間の設定には注意を払いたい。

■ サードパーティーのプッシュ通知 SDK の利用

これらの欠点を補完すべく、数社から“カスタマイズ可能なプッシュ通知 SDK”が提供されている。もちろん導入コスト(例、50,000円/月間)が発生するが Android の標準プッシュ通知機能の“補完”の意味を超える機能を提供しているものも多いのでその一部をご紹介する。

・通知メッセージのカスタマイズ
Android でも iOS と同様にダイアログ+テキストで通知を表示出来る機能。カスタマイズ次第で画像の挿入、ダイアログ背景画像の設定が可能なサービスもある。

・ユーザーセグメントの設定が可能
アクセス頻度や OS 情報、またアプリベンダーが設定した任意のセグメントで指定したユーザーへのみ通知を行うことが可能。

・リンク先の任意設定
従来のプッシュ通知の場合、アプリを起動させることしか出来ないが、プッシュ通知からの遷移先をアプリ内の指定のページ、URL にリンクさせることが可能。キャンペーンのお知らせの際の通知などで効果的に利用できる。

・開封率などの効果測定が可能
通知に対する反応を計測することで、リテンションの高い時間帯、曜日などのテストを行うことが可能。

・位置情報と連動して配信可能
GPS 連動で指定のエリアにユーザーがいる時にプッシュ通知を配信することが可能。

以上のように、“カスタマイズ可能なプッシュ通知 SDK”にはプッシュ通知を更に効果的に利用する機能が盛り込まれたものも多い。新規ユーザーの囲い込み施策のひとつとして、検討してみてはいかがだろうか?

執筆:株式会社ネットマーケティング 斉藤勇太
記事提供:株式会社ネットマーケティング