IT 専門調査会社 IDC Japan は、国内クライアント仮想化市場に関し、国内シンクライアント専用端末市場、国内クライアント仮想化ソフトウェア市場、国内クライアント仮想化ソリューション市場のそれぞれの主要ベンダーの競合状況を分析し、その結果を発表した。

この3分野では上位ベンダーがいずれも高いシェアを確保しており、ベンダーシェアの順位は大きく変動していない。2011年の国内シンクライアント専用端末市場のベンダーシェアでは、1位はワイズテクノロジー(現在はデル)で、HP、NEC、日立製作所、富士通がトップ5社。その中でワイズテクノロジー、HP の2社の実績が突出しており、3位以下のベンダーを大きく引き離している。ただし、価格戦略をとる HP と差別化戦略のワイズテクノロジーは、対照的な戦略をとっている。端末、プロトコル、クライアント仮想化ソフトウェアの標準化が進み、マルチベンダー環境でもほぼ問題なく稼働するため、ベンダー間の乗換コストは低いと考えられる。新規参入の観点からみると、参入障壁は中程度、と同社は分析している。

2011年の国内クライアント仮想化ソフトウェア市場のベンダーシェアでは、上位5社はマイクロソフト、シトリックス、ヴイエムウェア、NEC、オラクル。特にマイクロソフトは50%以上のシェアを維持している。また、市場全体の成長率が高い中で、シトリックス、ヴイエムウェアがシェアを伸ばしているところに、仮想化専業ベンダーの勢いが伺える。

マイクロソフトの強みは3点ある。3区分(アプリケーション仮想化、デスクトップ仮想化、プレゼンテーション仮想化)に該当する製品をすべて提供できる点、シトリックスやヴイエムウェアのクライアント仮想化ソフトウェアがマイクロソフトのライセンスが前提となっている点、企業において莫大な Windows 資産が保有されている点。この市場での新規参入は非常に難しい。先行者利益が大きいため、参入障壁が高いとのこと。

2011年の国内クライアント仮想化ソリューション市場のベンダーシェアでは、1位から3位が、富士通、日立、NEC で、HP、IBM の2社が追従している。

富士通はシトリックスとグローバルアライアンスを提携しており、マイクロソフト、ヴイエムウェアとも連携し、仮想化案件を全社でまとめる部門を設置し強化している。さらに FUTRO ブランドの立ち上げ、Unicon (欧州のシンクライアントベンダー)の買収、RVEC(画面転送プロトコル)の開発など、クライアント仮想化関連技術を戦略的に進めている。

同市場での新規参入は参入障壁が低いと考えられるため、今後も多くのシステムインテグレーターやソリューションベンダーが参入してくる可能性が高い。

IDC Japan PC、携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの渋谷寛氏は、次のように述べている。

「クライアント仮想化関連の主力ベンダーはほぼ定着している。一方、今後の買収や合併によってその勢力図が崩れる可能性もあるため、海外の動向も踏まえたうえで注意を払う必要がある」

国内クライアント仮想化市場、上位ベンダーが高シェアを確保
2011年国内シンクライアント専用端末/ターミナルクライアント市場 出荷台数ベンダー別シェア
出典:IDC Japan