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SNS ユーザーの生の声が企業サイトを変える -- 「ソーシャルカタログ」が企業にもたらす新たな可能性とは

japan.internet.com 編集部
2012年10月5日 / 10:40
 
 
 
生活者向けの商品やサービスを展開するメーカーなどにとって、その商品・サービスを紹介する企業サイト・ブランドサイト(Owned Media)は重要な"資産"だ。企業は、ウェブサイトに商品・サービスの詳細な情報を網羅的に掲載し、商品の購入を検討している生活者に検討材料となる情報を幅広く提供し、ビジネスを生み出す源泉としている。しかし最近では、この企業の発信する情報に SNS を連携させることで生活者の生の声を加え、企業サイトに新たな価値を生み出すという動きが加速している。その推進力となっているソリューションが、博報堂DYグループ・ソーシャルメディア・マーケティングセンターと博報堂アイ・スタジオが共同で提供している「ソーシャルカタログ」というものだ。

博報堂アイ・スタジオで「ソーシャルカタログ」のプロジェクトを推進している十字 賢氏に、このソリューションの仕組みや企業サイトにもたらされる新たな価値について、お話を伺った。

博報堂アイ・スタジオ ストラテジックプラナー 十字 賢氏
博報堂アイ・スタジオ ストラテジックプラナー 十字 賢氏

● 企業サイトで生活者からの反響を可視化する「ソーシャルカタログ」

「ソーシャルカタログ」とは、企業がウェブサイトで発信する商品・サービスのスペックや特長に対して、生活者が Twitter や Facebook のアカウントを使って自由にコメントや"いいね!"を残し、その生活者のレスポンスを企業のウェブサイト上に可視化するという、企業が一方的に情報配信を行う「B to C」発想ではなく、生活者と共にブランディングしていく「B with C」型の WEB カタログソリューションだ。企業のもつ「カタログ情報」と、生活者の反響である「クチコミ」を掛け合わせたものだと言える。

「ソーシャルカタログ」の紹介動画

"生活者のレスポンスの量=注目度の高さ/話題の大きさ"は、そのまま企業サイトの「ソーシャルカタログ」上にグラフィックや文字の大小などによって可視化され、注目されている商品・サービスのポイントを簡単に把握することができる。また、生活者のコメントはそのまま SNS にも投稿されるため、情報拡散のドライバーにもなる。「ソーシャルカタログ」は、情報発信型の企業サイトに、生活者の"いいね!"やクチコミを投稿・掲載できる参加型コンテンツと、生活者の反響を把握するマーケティングリサーチの場、そしてクチコミを拡散させる推進力という3つの付加価値をもたらすものだと言えよう。十字氏はこれをひとことで「Owned Mediaをソーシャル化するものだ」と説明する。商品の特長やスペック、使用感などが気になるデジタル製品や電化製品、自動車などのサイトや、ファンの声が大きい食品・飲料の分野など幅広い業界に適しているという。

「ソーシャルカタログ」の表示イメージ
「ソーシャルカタログ」の表示イメージ

十字氏によると、「ソーシャルカタログ」のような形でのソーシャルコンテンツが企業に求められるようになった背景には、インターネット利用の変化が挙げられるという。"情報を探す"ということが目的だったインターネットは、 SNS が台頭してきたことにより、ネットユーザーは自ら情報を発信・拡散するようになった。このようなネット利用動向の変化に対して、企業は単にウェブサイトで情報を提供したり、ブランド価値を訴求したりするだけでなく、SNS 上でユーザー同士が行っているコミュニケーションを積極的に取りこみ、そこから企業にとっての新たな価値を生み出すことが必要になってきたのだ。

この動きは商品やサービスの情報を探す生活者にとっても大きなメリットがある。従来では、生活者は企業サイトで商品やサービスの基本情報を把握し、最後はクチコミサイトやブログなどを探し回って同じ商品を買った/興味がある生活者の声を参考にして商品の購入を決定する。「ソーシャルカタログ」を導入したウェブサイトであればこのような手間は省け、企業の公式な情報と次々に集まる生活者の意見を同時に閲覧することができるようになるのだ。「ソーシャルカタログによって企業サイトは、生活者視点での新しい魅力を発見できる場に生まれ変わり、より自分事化しやすくなることで購買の後押しにつながる」(十字氏)。

● 生活者の"ありのままの反響"は、企業にとって重要な資産になる

ところで、このような「ソーシャルカタログ」の考え方は、従来の企業のブランドコミュニケーションでは考えられなかったことであり、様々な懸念も考えられる。この点を十字氏に聞いてみた。

まず1点目に、SNS を通じてユーザーが自由に行う発言をそのまま企業サイトに取り込むということは、企業が意図しない、あるいは商品やブランドにとって不利な発言をも掲載することになり、企業はこれを容認できないのではないだろうかという懸念だ。この点について十字氏は、「ソーシャルメディアが普及するにつれ、企業の抵抗感は弱くなってきている。公序良俗に反するものは Owned Media に掲載しないことができ、企業はソーシャルメディアと連携し新しいコミュニケーションと向き合わなければならないという課題意識が年々強まり、生活者の声には良い意見だけではなく、違う意見もあるものだという多様性を認め、その意見も掲載していこうとする傾向が生まれてきている」と語る。生活者からの意見や課題提起は、企業にとって生活者のニーズを把握するためや、生活者にとっても有益な情報提供ができる新しい財産だという意識が強くなってきているのだ。

2点目に気になるのは、企業が主導して行う UGC に対して、SNS を連携させる「ソーシャルカタログ」はユーザーが自由すぎてしまうのではないかという懸念だ。この点について十字氏は、「生活者の生の声を情報提供するということにソーシャルカタログの価値はある。従来型の UGC は企業が内容や投稿ルールをコントロールする代わりに参加メリットを打ち出す企画やキャンペーンを実施し何人が参加したという数字的な成果が多かった。しかし、ソーシャルカタログは生活者の生の声を集めることにより、企業だけでは配信できない生活者にとって有益な情報提供が可能になるほか、企業にとっても重要なマーケティング資産になる。企業と生活者とのコミュニケーションで生まれた情報だからこそ、数字以上の価値を手に入れることができるのだ」と語る。

集まった生活者の"ありのままの反響"は広告やカタログに活用することもできるし、企業が当初想定していた商品やサービスの注目点と生活者が実際に反応した着眼点を比較・分析することによって、生活者の購買を生み出すためのブランドコミュニケーションの方向性を生活者視点の内容に軌道修正することもできる。生活者の反響を新たな商品・サービスのプロダクトマーケティングに活かすという方法もある。「ソーシャルカタログを通じて企業の思惑と生活者の反響に予想外の相違が生まれることは、少なくない。集まった声から、企業が気付いていなかった新たな可能性を発見することにもつながる。これは、企業が生活者の声に耳を傾けるからこその発見だ」(十字氏)。

● API によって、企業サイトに新たなウェブコミュニケーションを拡げたい

このように、企業サイトに様々な価値をもたらす「ソーシャルカタログ」だが、最近このソリューションを企業が簡単に導入することができるクラウド API として提供を開始した。このサービスでは、「ソーシャルカタログ」に必要な SNS 連携、投稿監視、データベース、コメントの管理・分析機能をクラウド化して提供するため、企業はユーザーインターフェイスやアプリなどフロントの開発を行うだけで導入することができる。マルチデバイスに対応しているほか、公序良俗に反するキーワードなど含む投稿をブロックできる機能や SNS のアカウントを持たないユーザーでもコメントできる機能なども提供する。

「ソーシャルカタログ Cloud API」の紹介動画

十字氏はこのソリューションの API 化について、「"生活者と共にブランドを作る"という新しいウェブコミュニケーションのカタチを拡げていきたい」と抱負を語る。従来の情報発信型企業サイトにソーシャルカタログのもたらす価値を加えることで、企業サイトの価値を高め、デジタルマーケティングに変化をもたらしたい考えだ。そしてその背景には、十字氏のソーシャルマーケティングに対する確固たる信念がある。

「ソーシャルマーケティングは、"たし算"ではなく"掛け算"だ。Facebook や Twitter を活用したデジタルマーケティングの場合、『いいね!』やツイートの"数"だけを見て成果を判断しがちだが、本来であれば企業と生活者が向き合うことでどのようなシナジーがうまれるか、そこから生まれた様々なシナジーを企業がどのように活用するかを考えることが重要であり、商品やサービスの元に集まった生活者のありのままの意見に耳を傾けることこそが本当のソーシャルマーケティングだと考えている。ソーシャルカタログを通じて、ソーシャルマーケティングのあるべき姿を企業のウェブコミュニケーションに浸透させていきたい」(十字氏)。
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