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第四十七回 「ソーシャルコマースの潮流(7)ユーザーが商品を供給する 前編」

斉藤 徹・大迫 正治
2007年4月24日 / 09:00
 
 
「ソーシャルコマース」や「ソーシャルショッピング」と呼ばれる潮流は、ユーザーの行動をマーケティングプロセスに組み込み、ユーザーが本当に購入したいと思える商品を効率的にマッチングさせる試みだ。そこではユーザー間の信頼関係をベースに、さまざまな情報が受発信されているが、別の角度から見ると、ユーザーは「消費者から生産者へ」とその役割を拡大してきているといえるだろう。

そこで今回から次回にかけて、「生産者としてのユーザー」あるいは「商品供給者としてのユーザー」が影響力を持ちつつある事実を明らかにしてゆこう。

ユーザーが生産者サイドに近づく第一歩は、アフィリエイトだった。EC サイト管理者は簡単にアフィリエイトリンクを作成できるツールを普及させ、Blog や SNS での商品宣伝に乗り出した。資金力のある一部のサイトは、ウィッシュリストや商品レビューという機能を実装し、ユーザーによるアフィリエイトを実現した。

しかし2006年より、アフィリエイトよりもより生産者サイドに近づいた形態、すなわち物々交換や C2C ショッピング、ドロップシッピングなどを可能にするプラットフォームが Web 上に整備され始めている。

1. オンライン物々交換

例えばアメリカのスタートアップベンチャーである lala は、Web 上に CD の「物々交換」の場を提供した。

ユーザーは自分の持っている CD のうち、交換してもよいと思っているものをリストとして公開し、一方で欲しい CD についてもリスト化する。リストを見た他のユーザーは交換を申し入れ、了承されると双方には lala から郵送料を支払済みの封筒が送られる。ユーザーは CD を封入して相互にダイレクトに郵送し、クレジットカードで決済されるという仕組みだ。

ユーザーの支払うコストは手数料1ドルと郵送料75セントであり、収益の一部はアーティスト助成基金に寄付される。

図1 lala:トップページ


lala で現在提供されるアルバムは180万枚を超え、「ロングテール」の代名詞である Amazon で取り扱われるセレクションの2倍を誇っている。ユーザーはよりニッチな商品を低価格で手にするチャンスが増え、また無名のアーティストも収入の途を得ることができる。lala はリスクヘッジとして新譜の販売も手がけており、2006年9月に粗利の黒字化を達成した。月々の交換は1万件にも上るが、巧みなユーザー評価システムによってクレーム発生率を2%に抑えている。

2. C2C ショッピング

従来、ユーザーが商品を供給し、他のユーザーがそれを購入するというモデルでは Yahoo! オークションや ebay が抜きん出ていたが、昨年から今年にかけて急成長しているのが Etsy である。

Etsy はハンドメイドのクラフトワークに特化したショッピングプラットフォームで、すべての商品は世界中に散在する無名のユーザーが提供している。ユーザーは自由に値段を決め、決済方法や配送条件を指定し、自分だけのストアを Web に開設することができる。

図2 Etsy:トップページ


趣味でしかなかったクラフトワークに収益化の可能性を与えた点で Etsy の貢献は大きいが、それ以上に注目すべきは、ユーザーを楽しませるデザインへの積極的な投資と、ロングテール部分に該当する商品への巧みなトラフィック誘導である。

商品には「色」や「価格」だけでなく、「出品者の所在地」や「出品された日時」などさまざまな情報が付属しているが、Etsy はこれらを無機的なテーブル上に一覧表示するようなことはしなかった。

彼らは「カラーピッカー(色による検索)」や「ジオロケーター(場所による検索)」や「タイムマシーン(時間による検索)」といった独特の検索チャネルを用意し、トラフィックを分散させてロングテール効果を最大限に引き出すことに成功している。

ユーザーに商品を持たせ、参加の場を用意することは、新たなビジネスチャンスを生む可能性を秘めているが、彼らの多くは無名であり、プロモーションするコストも支払えない。lala や Etsy は、こうした点でユーザーのとるリスクを最小限にするとともに、露出する機会を最大限にする仕組みを提供しているといえよう。

【当コラム執筆は、Looops Communications 代表である斉藤徹と、同社企画部長の大迫正治が担当しています】

記事提供:株式会社 Looops Communications(ループス・コミュニケーションズ)
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