【認知度100%の「遺伝子検査」ってなに?】

「遺伝子検査」という言葉をご存知だろうか。これは、人体の細胞に含まれる DNA(デオキシリボ核酸)配列のうち、タンパク質の合成方法などを定めるパターン(遺伝暗号)である遺伝子の配列を解析し、特定の病気にかかりやすいかなどを調べる行為だ。DNA ならぬディー・エヌ・エー(DeNA)が2014年10月に調査したところ、遺伝子検査を「知っている」と答えた人が38.7%、遺伝子検査という言葉を「聞いたことがある」が61.3%となり、なんと調査対象者の全員が何らかの形で認知していた。

ここまで認知率が高いのは、「犯罪捜査で DNA 鑑定が使われた」などとよく報道されたり、昨年「女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが遺伝子検査の結果を受けて予防的な手術を受けた」というニュースが話題になったりした影響だろう。しかし、DeNA が2014年6月に実施した際の認知率は87.2%だったので、最近になって認知している人が増えたことになる。これは、アンジェリーナ・ジョリーさんのような有名女優からほど遠い一般庶民でも気軽に受けられる、簡易的な消費者向け遺伝子検査サービスがいくつか登場したからかもしれない。そうしたなかには、インターネットコムが記事で紹介した、DeNA 傘下の DeNA ライフサイエンスが提供する「MYCODE」や、ヤフーの「HealthData Lab」などがある。

この種の簡易検査は、病院などに行かず、自宅に送られくる検査キットで血液や唾液、口腔粘膜を採取して返送し、解析してもらう、という方式が多い。前述した MYCODE と HealthData Lab はいずれも唾液サンプル方式で、検体から遺伝子情報を読み取り、さまざまな病気(疾病)の発症リスクや体質傾向を示す内容のサービスだ。検査結果を参考にして、場合によっては生活を見直して病気を予防しよう、といったことに活用できる。

物は試しということで、筆者は MYCODE を実際に使って自分の遺伝子を検査してみた。そこで、検査に申し込んでから結果を受け取るまでの流れや、結果を見る際のポイントなどをまとめ、身近なような縁遠いような遺伝子検査サービスがどのようなものか紹介しよう。

DeNA の遺伝子検査サービス「MYCODE」を体験してみた、一喜一憂せずアドバイスを参考にしよう
今回試した遺伝子検査サービスは
MYCODE の「オールインワン280+」
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【申し込みから検査は拍子抜けするほど簡単】

MYCODE で検査できる内容は、胃がん/肺がん/食道がんなど各種がん、糖尿病/高血圧/心臓疾患などの生活習慣病、その他疾病の発症リスクと、肥満や肌質などの体質関連情報を合わせ、最大で約280種類の項目。検査項目数の異なる3コースが用意され、好みのものが選べる。筆者は項目数が最も多い「オールインワン280+」にした。

検査キットは MYCODE の公式サイトだけでなく、通販サイト「Amazon.co.jp」でも購入可能。また、店頭販売がスポーツクラブ「東急スポーツオアシス」「セントラルスポーツ」、ヨガスタジオ「東京マルシェ」、調剤薬局「グリーンメディック」で順次始まるので、目にする機会が増えるはずだ。

申し込み後に届いたパッケージを開けると、検査キットのほか、説明書や返送用封筒が出てくる。唾が出やすいようにとの配慮からかレモンの写真まで入っている。説明書には、検査前にオンライン会員登録が必要だったり、食事の直後に唾液を採取してはいけなかったりと、簡単だけど怠ると検査が無駄になる行為などの注意点が書かれているのでよく読もう。

パッケージの中身 検査キットや説明書、返送用封筒など
パッケージの中身
検査キットや説明書、返送用封筒など

事前準備を済ませたら、いよいよ唾液の採取。といっても、難しいことは何もなく、レモンの写真を見ながら唾を採取キットに入れるだけ。本物の梅干しを前に置いて採取した方が早く済むかもしれない。

上:唾液の採取はいたって簡単 下:唾が出やすいようレモンの写真付き
上:唾液の採取はいたって簡単
下:唾が出やすいようレモンの写真付き

この後は、サンプルと必要事項を記入した申込書/同意書を返送用封筒に入れ、ポストに投函して待つだけ。最新の遺伝子検査がこれだけで体験できるなんて、ちょっと拍子抜け。

上:唾液サンプルだけでなく、検査申込書/同意書を忘れずに 下:あとはポストに入れるだけ
上:唾液サンプルだけでなく、検査申込書/同意書を忘れずに
下:あとはポストに入れるだけ
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【結果に一喜一憂せず、アドバイスを参考に】

会員登録して試料を送ったのが11月28日で、検査完了は12月9日。約10日で結果が出たわけだが、試料受領や検査開始などの進捗がメールで通知されるから安心だ。待つあいだに、MYCODE の Web サイトで生活習慣などに関するアンケートに答えておこう。検査結果に応じて提供される病気予防のアドバイスの内容がより自分に合うものに変わるそうなので、これを活用しない手はない。

会員登録/試料送付から検査完了まで
会員登録/試料送付から検査完了まで

それでは、検査結果を見てみよう。MYCODE の Web サイトにログインをすると、「疾病発症リスク」「体質」「アドバイス」といった情報がざっと表示される。「主な疾患」や「がん」「生活習慣病」の大まかな解析結果は、ここで確認可能だ。

MYCODE のマイページ 大まかな結果が分かる
MYCODE のマイページ
大まかな結果が分かる

詳しい結果を知りたい場合は、このページか、ページ上部の「疾病発症リスク」から移動したページで、それぞれの疾病名をクリックすれば読める。

詳しい結果はこちらで確認
詳しい結果はこちらで確認

各疾病の発症リスクの度合いは、××倍といったように数字で示される。このリスク倍率は、被験者のその疾病の発症率が平均的な日本人に比べて何倍あるかという意味だ。

解析結果から導き出された ある疾病の発症リスク
解析結果から導き出された
ある疾病の発症リスク

数値が低いからその病気を発症しない、というわけでない。逆に、倍率が高いからすぐに危険なわけでもない。解析結果を読むときに大切なのは、発症リスクはあくまでも目安であり、数値で一喜一憂しては駄目だ。リスクが高い場合は、各疾病の詳細を開き、どのような病気なのかまず理解する。そして、生活で改善/予防の期待できる疾病についてはアドバイスが掲載されているので、参考にするのがよい。

アドバイスを参考に 発症を予防しよう
アドバイスを参考に
発症を予防しよう

それにしても、解析項目が280種類もあるため、全部を細かく見ていくのは大変だ。聞いたこともない疾病もたくさん並んでいる。ただし、MYCODE の Web サイトはスマートフォンからでも使いやすい。そこで、ちょっとした隙間時間に眺めていくだけでも勉強になるし、書かれているアドバイスに日ごろから注意する切っ掛けにできる。さらに今後も、新たな検査項目が順次追加されたり、結果の出ている項目に最新の研究成果が反映されたりする。定期的にアクセスするとよいだろう。

スマートフォンでも読みやすい MYCODE の Web サイト
スマートフォンでも読みやすい
MYCODE の Web サイト

それでも心配ならば、有料ではあるが「生活改善プログラム」を利用しよう。インターネット経由のテレビ電話で「管理栄養士を中心とした」アドバイザーに相談し、気になった疾患の予防法、自分に合った健康情報などのアドバイスが受けられる。

【遺伝子検査は健康な生活への第一歩】

筆者も実際に体験して理解したことだが、MYCODE のような遺伝子検査は、検査を受けて一度結果を見たらお終い、というサービスではない。使いっぱなしでなく、さまざま疾病の内容や原因を把握し、自分の体の傾向を知り、対策を取るという、健康な生活を長く続ける第一歩として活用するサービスである。健康に対する意識を高める意味でも、受けて損はしないだろう。