産業技術総合研究所 再生可能エネルギー研究センター 水素キャリアチームは、総合科学技術・イノベーション会議の SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)「エネルギーキャリア」の委託研究で、東北大学との共同研究により、灯油の30%相当をアンモニアで置き換えた状態で混焼し、21kW のガスタービン発電することに成功した。

産総研ら、ガスタービンでアンモニアを燃焼させる発電技術を開発
アンモニア直接燃焼マイクロガスタービン発電装置


アンモニアは水素含有量の多い水素キャリアとして期待されているが、今回、灯油(液体)とアンモニア(気体)を混合供給できる燃焼装置を試作して、アンモニアを燃焼し、ガスタービン発電に成功した。これは、アンモニアのエネルギー利用技術の大きな進展といえ、100%アンモニアの燃焼による発電が期待される。

今回の技術は、液体と気体の二系統の燃料を供給できる燃焼器を試作し、それを用いて灯油とアンモニアを安定して混焼させるというもの。定格出力 50kW のガスタービン発電装置を用い、約40%出力の 21kW 発電で約30%相当のアンモニアを灯油に加えて混焼させ、灯油専焼とほぼ同じ出力での発電に成功したという。

まず、灯油だけを供給してガスタービンを起動し、安定に 21kW の発電を開始した後、気体燃料を供給するガス配管に窒素−アンモニア混合ガスを供給してアンモニアの燃焼を開始し、徐々にアンモニアの比率を上げ、最終的には窒素供給を止めて、灯油−アンモニア混焼を実現した。発電出力を一定に制御する運転を行ったところ、アンモニア燃焼による発熱量分だけ、灯油の供給量を削減することができ、灯油の供給量を30%削減した状態で21kW の発電出力を安定に維持したという。

なお、この技術の詳細は、9月21日から24日に米国アイオワ州デモインで開催される「NH3 Fuel Conference」で発表される。