米国 IBM は、脳からヒントを得た非ノイマン型コンピュータ アーキテクチャの新チップを発表した。

百万個のプログラム可能なニューロン、2億5,600万個のプログラム可能なシナプス、毎秒毎ワット460億のシナプティック オペレーションというスケールを達成する、初のニューロシナプティック コンピュータ チップだ。

54億個のトランジスタからなるこのチップは、現時点で、今まで製造された中で最大の CMOS チップのひとつだという。生物学的な実時間で稼動する際は、70ミリワットのわずかな消費電力で作動する。

コグニティブ コンピュータへの重要な一歩である今回の成果は、Cornell Tech との共同論文として、『Science』(サイエンス)誌最新号に掲載されている。

全く新しい、ニューロサイエンスにヒントを得たアーキテクチャの第2世代チップは、10年近くにわたる研究開発の集大成。この新しいコグニティブ チップ アーキテクチャは、4,096個のデジタル、分散ニューロシナプティック コアのオンチップ2次元メッシュ ネットワークを有している。そして、それぞれのコア モジュールは、メモリ、コンピュテーション、コミュニケーションを統合し、イベント駆動型、並列、耐故障性で動作する。

システムをシングルチップの壁を越えて拡張できるため、ボードに並べられたとき、隣り合ったチップがお互いをシームレスに接続できる、将来のニューロシナプティック スーパーコンピュータの基礎を築いている。

また、スケーラビリティーを実証するため、IBM は1,600万のプログラム可能なニューロンと、40億のプログラム可能なシナプスを持つ、16チップ システムを公開した。

このプロジェクトは、米国国防省 国防高等研究計画局(DARPA)が、2008年から「The Systems of Neuromorphic Adaptive Plastic Scalable Electronics」(SyNAPSE:神経形態学的電子工学システム)プログラムの第ゼロ段階、第1段階、第2段階、第3段階に約5,300万ドルを助成しており、現在、Cornell Tech、iniLabs などと共同で取り組んでいる。

チップの製造には、高密度オン チップ メモリと電力漏れの少ないトランジスタからなるサムスン電子の28ナノメートルプロセス技術が使われている。

米 IBM、脳にヒントを得た非ノイマンアーキテクチャのチップ  SyNAPSE を発表
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