太平洋にある絶海の孤島、西之島。2013年に突如として火と煙を噴き上げて拡大を始め、今や東京ドームの数十倍の広さになった。この自然の驚異を写真と動画で克明に記録、公開している Web サイトがある。海上保安庁海域火山データベースだ。
 
西之島--「天地創造」を写真と動画で公開、 海上保安庁の海域火山データベース
噴煙を上げる西之島(2014年7月、出典:海上保安庁)

海域火山データベースでは、北海道から沖縄まで、海上保安庁が全国36か所の火山を詳細に観察した記録を自由に閲覧できる。特に最近、活発な動きを示す西之島の情報はすばらしい充実ぶりだ。

西之島は、東京都小笠原村の父島から西方約 130km の距離にあり、わずかな植物が生えているが、人は住んでいない。

1973年にはもともとあった島のそばに新島が生まれ、多くの注目を集めた。データベースでは、当時起きた激しい噴火で海水が沸騰し、白い蒸気の柱を作り出すようすを、写真や動画として見ることができる。

約40年前の新島誕生(1973年、出典:海上保安庁)
約40年前の新島誕生(1973年、出典:海上保安庁)

その後、新島はもともとあった島とひとつになり、噴火は落ち着いたようだった。しかし40年が過ぎた2013年になって、再び別の場所に新島が生まれ、以前を上回る規模で成長を始めた。

海上保安庁は、新たな噴火が始まってから幾度となく、西之島の上空を飛んでそのようすをカメラに収め、つど写真や動画をデータベース上に公開してきた。

記録を見てみると、新島ははじめ細長い卵型だったが、わずか数か月のあいだに四方八方に広がり、数倍の面積になったのが分かる。
 
初めは細長い卵型だった新島(2013年11月、出典:海上保安庁)
初めは細長い卵型だった新島(2013年11月、出典:海上保安庁)

今では以前の島とつながって、ほとんど飲み込んでしまいそうに見える。絶え間なく成長を続けるアメーバのようだ。

 当初、新島(右)と近くの旧島(左)は親子のようだった(2013年11月、出典:海上保安庁)
当初、新島(右)と近くの旧島(左)は親子のようだった(2013年11月、出典:海上保安庁)

しかし短期間で急成長(2013年12 月、出典:海上保安庁)
しかし短期間で急成長(2013年12 月、出典:海上保安庁)

新島(右)は旧島(左)を飲み込むかのごとくに拡大(2014年1月、出典:海上保安庁)
新島(右)は旧島(左)を飲み込むかのごとくに拡大(2014年1月、出典:海上保安庁)

生き物のようだ(2014年7月、出典:海上保安庁)
生き物のようだ(2014年7月、出典:海上保安庁)

さらに赤外線で撮影した動画や写真を見ると、成長の過程で、いくつもの火口から、次々に火山弾が飛び出し、溶岩が灼熱の流れとなって海に入っていくさまも確認できる。数千万年前、日本列島が形成された「天地創造」のころも、あるいは似た光景が繰り広げられたのだろうかと想像を掻き立てられる。

火口付近の赤外線写真、液状になった溶岩(2014年6月、出典:海上保安庁)
火口付近の赤外線写真、液状になった溶岩(2014年6月、出典:海上保安庁)

かくも激しく活動しながら、西之島の噴火と拡大はまだいっこうに収まるようすはない。このスペクタクルはいつまで続き、結末はどうなるのか。海域火山データベースを通じてもたらされる光景は、しばらくのあいだ多くの人を引き付けて止まないだろう。