富士フイルムは、独自の抗菌コート技術「HYDRO AG(ハイドロ エージー)」を開発した。従来の銀系抗菌剤を使った抗菌コートと比べて、約100倍の抗菌性能を実現するという。

そのスマホ、触って大丈夫?--富士フイルムが約100倍の抗菌性能を実現
従来の銀系抗菌コートと「HYDRO AG」の構造

「HYDRO AG」は、銀系抗菌剤を分散した超親水性の樹脂を塗布する技術。同社が写真フィルムで培った銀に関する知見および精密塗布の技術と、グループ企業である富山化学工業の抗菌性能の評価技術を生かして開発されたという。

一般的に、銀系抗菌剤を使った抗菌コートは、空気中の水分などが作用して溶出された銀イオンが細菌の酵素と結合し、細菌を不活化することで増殖を抑制している。従来の銀系抗菌コートは非親水性の樹脂が用いられており、塗布膜表面に露出した銀系抗菌剤に水分が作用した場合にのみ、銀イオンが溶出される仕組みとなっていた。

「HYDRO AG」は、水と非常になじみやすい超親水性の樹脂を採用。塗布膜表面だけでなく、塗布膜内部の抗菌剤にも水分が作用して銀イオンが溶出されることで、高い抗菌性能を発揮するという。また、抗菌効果が長期間持続することも期待できるそうだ。

今後富士フイルムは、同技術を用いたタッチパネル搭載機器向けの抗菌液晶保護フィルムを発売する予定。様々な製品への応用展開も検討している。