日本バイリーンの伊藤 康博第二技術部長、産業技術総合研究所の保高徹生主任研究員、福島県農業総合センターらの開発チームは、効率的に水中の放射性セシウムを計測できるモニタリングシステムの開発に成功した。

水中の放射性セシウムを素早くモニタリングするシステムを開発
水中の放射性セシウムを素早くモニタリングするシステム


開発チームは、水中セシウムを吸着するプルシアンブルー色素を改良し、それを付着させた不織布を用いて吸着効率を高めることに成功した。この亜鉛置換体プルシアンブルーを使った不織布カートリッジ「Zn-C」を使用すれば、水20リットルの前処理時間を約6時間から約8分と大幅に短縮できる。この性能は広い ph の範囲(ph3から10)で保たれる。

セシウムの取り込み構造の概念図
セシウムの取り込み構造の概念図

セシウムを吸着させた Zn-C の放射能を測定すれば、大量の水の放射能濃度が短時間で分かるため、多地点での継続的なモニタリングなど、長期的な環境に対する影響評価への大きな貢献が期待される。Zn-C は、日本バイリーンによって試験販売され、福島県内でのセシウムの環境動態モニタリングに活用されている。