米国のセキュリティ大手 Symantec の幹部が口にしたという「ウイルス対策は死んだ」という発言がやや独り歩きして世間をにぎわせる中、同業のロシア Kaspersky はいささか皮肉な批評を加えた。この種の発言は企業が新技術を紹介する際に出てくるものだ、と突き放した態度だ。

問題の発言は、米国の著名経済紙 The Wall Street Journal が Symantec の新技術を紹介するにあたって、同社の情報セキュリティ部門シニア・バイスプレジデントである Brian Dye 氏の意見として紹介した。

件の記事は、実際のところ Symantec が企業へのサイバー攻撃を早期検知し、被害を最小限に抑えるサービスに力を入れ始めた、という部分に重点を置いており、ウイルス対策が死んだ等々はその「枕(まくら)=前置き」に使っている。

Kaspersky は公式ブログでこの点に注意をうながしている。同社によると、従来型のスキャンを唯一の武器としたウイルス対策アプリは、確かにもう何年も前に「死んで」いるが、現在はヒューリスティック分析などの技術を備えた製品がとってかわっている。

ウイルス対策は死んだ?--「また言ってる」とカスペルスキーが批判
Kaspersky 公式ブログ

だが、新たな技術を紹介する際には派手な発言がついてまわる。Kaspersky は例として、米国のセキュリティ大手 Trend Micro の新技術紹介に関する2008年の記事を挙げている。これには「ウイルス対策業界は20年ものあいだ嘘をついてきた」という見出しがついている。

とはいえこうした発言とともに華々しく登場する技術も「特効薬」として働く訳ではなく、すでにある技術に付け加わる形で、全体のセキュリティ水準を底上げする、という経過をたどると、Kaspersky は説明している。