組織培養のようす |
仁和寺の「御室桜」は17世紀に植えられたと伝えられる八重咲きの桜で、人の背丈ほどまでにしか成長せず、遅咲きなのが特徴。京都の春の最後を彩る花として知られるが、樹齢360年を超えて衰えが目立ち、一部は枯死の恐れも出ている。
後継となる樹を育てるため、従来は枝から株分けをして新しい苗木を作っていたが、八重咲きが先祖返りして一重咲きになることが多く、御室桜の景観を保つために別の方法を考える必要があった。
バイオテクノロジーによる培養は、2007年に決まった。仁和寺が京都府などと協議した上で、住友林業グループ、千葉大学園芸学部と共同で、研究プロジェクトを発足させた。
プロジェクトでは「組織培養」という方法を採用した。まず御室桜の冬芽を摘んで、一部を試験管に入れたあと、培養液で増やし、根を生やさせて、培養土に植え付けた。2012年には十分に成長した苗木ができたため、仁和寺の境内に移した。今春開いた桜は、狙い通り八重咲きだったという。
なお、仁和寺は Twitter の公式アカウント(@Ninna_ji)を持ち、4月10日に境内の桜の満開を知らせるツイートをしている。古くからある桜もまだまだ元気に見事な花を咲かせているようすが分かる。
hidden start
可憐な御室桜。目前でご覧いただけます。 pic.twitter.com/mIcLSB4eKD
― 仁和寺 (@Ninna_ji) April 10, 2014
hidden end 今後、バイオテクノロジーで培養した桜も、順調に成長すれば名勝と呼ばれる景観に加わることになるだろう。