米国カリフォルニア州ナパバレーで開催中の「Linux Foundation Collaboration Summit」で3月26日、主要 Linux カーネル開発者がパネルディスカッションに登壇。Linux 開発の現状とコラボレーションについて語った。

Facebook はなぜオープンソース開発者を雇用しているのか? ― Linux カーネル開発の現状

Facebook 社員であり、Linux カーネル開発者である Jens Axboe 氏は、Facebook がなぜ、Linux カーネル開発者を含むオープンソース開発者を雇用しているのかを説明した。Axboe 氏は、CEO である Mark Zuckerberg 氏が主張している通り、Facebook がオープンソースの「Open Compute」プロジェクトによって10億ドル以上のコスト削減を実現していると述べた。

Open Compute は、ハードウェアを対象としたプロジェクト。だが Axboe 氏によれば、Facebook はソフトウェアの面でも、オープンソース技術を活用することでコスト削減を実現しているという。Facebook においては、オープンソースプロジェクトの進化が、同社のコストに直結している。これが Facebook がオープンソース開発者を雇用する理由ということのようだ。

競合相手とのコラボレーション

Linux カーネルコミュニティには多くの企業が参加している。それらの企業同士は、ライバル関係にあることがほとんどだ。にも関わらず、Linux カーネル開発に支障をきたすことはない。特定の企業の思惑がカーネル開発に持ち込まれたこともなかった。

Linux カーネル開発者の Greg Kroah-Hartman 氏は、現在では Linux Foundation でフェローとして雇われている。だが以前は Novell で雇用されていた。

「私は Novell で雇用されていたとき、我々の開発部門は、我々の競合相手でもあると語っていた。だが、それだけのことだ。カーネル開発を単独で行うことはできない。競合相手に頼るしかないのだ」

Kroah-Hartman 氏は、カーネルエンジニア同士はみな顔見知りであり、同じゴールを目指して共に働いていると付け加えた。競争や特定の企業の思惑といったものは、それぞれの企業のマーケティング担当者に任せておけばよいという。

「ライバル企業同士が、生き延びるために、お互い協力しあっている。まったくおかしなエコシステムだ。だが、この仕組みは機能している」

Axboe 氏は、このようなカーネル開発の在り方が、企業間の壁を壊していると付け加えた。開発者が転職したとしても、それがカーネル開発に影響を与えることはない。

「カーネル開発者は、自分が特定企業の従業員であるという感覚を持たなくなる。カンファレンスに参加した場合、その人はどの企業の従業員かではなく、『シリアルドライバの開発者』であるなど、何を開発しているかで判断される」

利用者からの声

カーネル開発者は、利用者からの声に対応しなければならない。Kroah-Hartman 氏は、利用者は何かが壊れたとき、それを開発者に直接知らせてくると述べた。カーネル開発者の E メールアドレスは公開されているため、探し出すのはたやすいという。

Axboe 氏は、利用者からの声は開発者にとって重要であると強調した。

「カーネル開発者にとって、利用者からの声ほど重要なものはないと、我々は理解している」

組織構造

組織という観点から見れば、Linux カーネル開発は、高度な“分散プロセス”によって支えられている。カーネル開発者である Matthew Garrett 氏は、Linux カーネル開発は、組織構造といったものをほぼ持たない、歴史上最大規模のコラボレーションプロジェクトであると述べた。

「カーネル開発がこれほどうまく進んでいるのは、奇跡といって良いだろう。もちろん、期待したほどうまく機能しないインターフェイスが生まれることもあるが、それはまれなケースだ」

Sean Michael Kerner
Sean Michael Kerner は、eWeek および InternetNews.com の主任編集者。