私は、「ドリアン・ナカモト」氏が「サトシ・ナカモト」氏だとは考えていない
2014年3月6日は、ビットコインコミュニティにとって忘れられない日になるだろう。この日、Newsweek 誌がビットコインの考案者とされるサトシ・ナカモト氏の正体を突き止めたと報道したのだ。私の Twitter フィードは、サトシ・ナカモト氏を追跡する多くのレポーターによる報道で埋め尽くされることになった。

Newsweek 誌によって考案者とされたサトシ・ナカモト氏の法律上の名前は「ドリアン・プレンティス・サトシ・ナカモト」氏。だが私は、ドリアン・ナカモト氏がサトシ・ナカモト氏だとは考えていない。

2009年2月、ビットコインの創始者であるサトシ・ナカモト氏は、P2P Foundation のフォーラムに、ビットコインを考案したことについて投稿した。このフォーラムページは長く放置されていたが、2014年3月6日遅く、サトシ・ナカモト氏による次の投稿があったのだ。

I am not Dorian Nakamoto(私はドリアン・ナカモトではない)

「I am not Dorian Nakamoto(私はドリアン・ナカモトではない)」

Newsweek 誌によって考案者とされ、メディアによって追いまわされた人物が、本物のサトシ・ナカモト氏であるという可能性は捨てきれない。P2P Foundation への投稿は、我々を煙に巻くためのものだったのかもしれないのだ。だがそれでも、私にはドリアン・ナカモト氏がビットコインの考案者とは思えない。

ビットコインの価格は、現在は600ドル前後で推移している。これだけの価値を生み出したシステムの考案者は、それなりの資産を保有しているはずだ。だが Newsweek 誌の公開したドリアン・ナカモト氏の生活は質素なもの。膨大な資産を保有しているようには見えないのだ。

我々の文化では、良きにつけ悪しきにつけ、ある技術の創始者を崇拝したがる傾向がある。これについては、Steve Jobs 氏や Thomas Edison 氏の名をあげるまでもないだろう。その意味では、ビットコインの考案者を見つけ出したいという欲求は理解はできる。だが、ビットコインの創設者が簡単に見つかるとは思えない。

Linux の創始者である Linus Torvalds 氏は、いまも Linux OS にアクティブに関わっており、3か月に一度新たなカーネルをリリースし続けている。だが、Torvalds 氏とは異なり、サトシ・ナカモト氏は、ビットコインの開発コミュニティに積極的に参加してはいない。

現在、ビットコインプロトコルを前進させているのは Bitcoin Foundation であり、サトシ・ナカモト氏はこの取り組みに公式には参加していないのだ。

サトシ・ナカモト氏が誰なのかという議論は、2009年から続いている。私は、「この人こそ本物」という主張をたくさん見てきたが、今回のようにサトシ・ナカモト氏とされる人物がレポーターに追いまわされるという出来事はこれまで一度もなかった。

本物のサトシ・ナカモト氏は、まだ見つかってはいないというのが真実なのだろう。私は、ビットコインの本当の考案者は、本人が望むときまで、表舞台に出ることはないと考えている。

Sean Michael Kerner
Sean Michael Kerner は、eWeek および InternetNews.com の主任編集者。