米国 Google による Chrome OS 搭載デスクトップ PC「Chromebox」は2月6日、IT 関連メディアの見出しを独占した。Google はこの日、Chromebox を活用したテレビ会議システム「Chromebox for Meeting」を発表したのだ。

Google が Chrome OS を搭載した PC 「Chromebox」を企業に売り込みたいと考える10の理由 ― 「Chromebox for Meeting」はその第一歩
Chromebox を活用したテレビ会議システム「Chromebox for Meeting」

Chromebox for Meetings は、Chromebox、HD Webcam、リモートコントロール、マイク・スピーカーで構成されている。Chromebox で動作するテレビ会議アプリはキオスクモードに設定されており、電源を入れると全画面のテレビ会議専用システムとして起動する。これら機材により、企業ユーザーは Chrome OS を利用したテレビ会議システムを低価格で利用可能となる。

Chromebox for Meetings は、Chromebox、HD Webcam、リモートコントロール、マイク・スピーカーで構成される
Chromebox for Meetings は、Chromebox、HD Webcam、リモートコントロール、マイク・スピーカーで構成される
Chromebox for Meetings によるテレビ会議には、最大で15人が参加できる
Chromebox for Meetings によるテレビ会議には、最大で15人が参加できる

多くのメディアは、Google は Chromebox for Meeting により、従業員に在宅勤務を許可している企業に対して低価格のテレビ会議システムを提供するつもりなのだと解説した。この理解は間違いではない。だが Google の本当の狙いは、その向こう側にある。

Google は企業に対して Chromebox を売り込みたいと考えているのだ。そのプロセスの一部として、Google は Chromebox for Meetings を公開し、Chrome OS が価値ある選択肢なのだと企業ユーザーに対してアピールを開始した。だがこれは Google による戦略の第一歩に過ぎない。

今回は、Google が Chromebox を企業に売り込みたいと考える、その理由を考えてみたい。

1. 一般消費者には「Chromebook」、企業には「Chromebox」

Google は同社が開発した「Chrome OS」を、教育機関と企業における必須 OS にしたいと考えている。現時点では、Chrome OS のシェアは1%以下だが、一般消費者の間で Chromebook の人気が高まるにつれ Chrome OS のシェアも高まると Google は考えている。Chromebook により消費者が家庭で Chrome OS を日常的に利用するようになれば、企業に導入する際のハードルはより低くなるだろう。

Chrome OS を搭載した PC「Google Chromebox」
Chrome OS を搭載した PC「Google Chromebox」

一般消費者には「Chromebook」、企業には「Chromebox」を売り込むことで、Chrome OS のシェア拡大を狙う。これが Google のマーケティング戦略だ。

2. Google は、PC 売上の低迷をチャンスだと考えている

過去数期にわたり、企業ユーザー向けの PC 売上は低迷している。企業ユーザーは買い換えサイクルを延長し、Windows 8 へのアップグレードをしないで Windows XP や Windows 7 を使い続けている。

2. Google は、PC 売上の低迷をチャンスだと考えている

Google はこの状況に付け込めると考えている。Windows 8 へのアップグレードをためらう企業顧客に対して Chromebox を売り込み、これを企業ユーザーに食い込むための突破口としたいと考えている。

3. 企業進出への突破口は“低価格”


Windows PC と比較した際の Chromebox のメリットは低価格だ。Chromebox は Samsung 製のものであれば329ドルで購入できる。Chromebox for Meetings に必要なフルセットを揃えても価格は999ドル。Samsung 以外のベンダーも、同様の価格で Chromebox を販売する予定だ。

3. 企業進出への突破口は、低価格

この価格設定は、企業の IT 部門には魅力的なものに映るだろう。

4. Microsoft は企業向け市場における Google の最大のライバル

「Google ドキュメント」と「Microsoft Office」、「Google ドライブ」と「SkyDrive(OneDrive)」、「Chromebook/Nexus 7」と「Surface」。Google と Microsoft は、企業向け市場の多くの分野で競合している。だが OS の分野では、Microsoft に一方的なリードを許している。

4. Microsoft は企業市場における Google の最大のライバル

企業向け市場での競争に勝つには、OS の分野でも Microsoft に迫る必要がある。そして、その鍵となるのが Chrome OS を搭載した Chromebox なのだ。

5. Chromebook が勢いを増している

Chromebook はその勢いを増している。Chromebook は、米国の軽量ノート PC 分野では、すでにトップセラーとなっている。Chromebook が売れているのに、Chromebox が売れない理由はない。

5. Chromebook が勢いを増している

6. クラウドの面では Google がリード

世界中のほぼすべてのアナリストが予測しているように、企業はクラウド技術に対する投資を今後数年で大きく増やす見込みだ。Chrome OS はクラウドベースの OS であり、クラウドとの完全な統合を実現している。Google はこれを武器に、クラウドサービスを求める企業顧客への食い込みを狙う。

一方 Microsoft は、クラウドの世界では後れを取っている。新 CEO である Satya Nadella 氏が、Microsoft をクラウドにフォーカスした企業へとトランスフォームできるのかどうかに、同社の命運がかかっている。

7. Google ワールドへの学生の取込み

Chromebook は、教育分野で成功を収めつつある。Google の狙いは学生に Chrome OS を利用してもらい、この OS に親しんでもらうことにある。やがて学生たちは企業に入社し、デバイスの購入で Chrome OS を選択するようになるだろう。

7. Google ワールドへの学生の取込み

Chrome OS が明日成功するとは、誰も考えてはいない。だが10年後には、現在とは全く異なった状況が出現しているはずだ。

8. Chromebox を購入した企業は、より Google サービスへの依存を高める

Chromebox を購入した企業は、Google Apps for Business を初めとする Google サービスをより多く利用するようになるだろう。

8. Chromebox を購入した企業は、より Google サービスへの依存を高める

9. 検索と広告

ここまでの戦略は、すべて Google の原点である「検索と広告」と関連している。これが企業向けプラットフォームとして Chrome OS が選択された理由だ。Chrome OS には Google 検索がビルトインされている。

9. 検索と広告

Chromebox を採用した企業ユーザーは、Google による検索と広告に密接に関わり合うことになるだろう。そして、Google はそこから大きな収益をあげることができるのだ。

10. 開発者の囲い込み

Google と Apple はモバイルアプリで新たな収益源を生み出した。Google も Apple も、サードパーティの開発者が作成したアプリをアプリストアで販売することで、大きな収益をあげている。

10. 開発者の囲い込み

Chromebox を企業に売り込むことに成功すれば、Google はより多くの開発者を Chrome ウェブストアに惹きつけることができるだろう。より多くの開発者が Chrome OS 向けのアプリに取り込むようになれば、Google がウェブストアから得る収入も大きなものになる。Google はこの開発者を囲い込み、この分野におけるリーダーになれる。

Don Reisinger
Don Reisinger は、フリーのコラムニスト。Ziff-Davis の Gearlog.com でのデビュー以降、Computerworld、InformationWeek などに数多くのコラムを寄稿してきた。現在は eWeek の他、CNET、LA Times でコラムを執筆している。Twitter のフォローは、@donreisinger で。