Facebook はこの地球上でもっとも“価値のある”ソーシャルネットワークだ。だがその価値は、「ネットワーク外部性」と呼ばれる現象によって支えられている。

2014年 IT業界予測:Facebook バブルははじけるのか?
「ネットワーク外部性」に依存するサービスでは、その価値は利用者の数によって決定される。

典型的な例は電話だ。もし電話加入者が1名だけであれば、その価値はゼロだ。だが、人口の99%が電話システムに接続すれば、その価値は非常に高いものとなる。

Facebook がソーシャルネットワークの主導的な地位にいられるのは、このネットワーク外部性のおかげだ。電話同様、誰もが Facebook を利用しているが、その理由は誰もが Facebook を利用しているからだ。

他のソーシャルネットワークも幾分かはネットワーク外部性に依存してはいるが、Facebook ほどではない。

例をあげよう。例えば突然明日、あなた以外の全員が YouTube の利用を止めたとしよう。それでも YouTube の価値はゼロにはならない。YouTube には膨大な数の動画がすでにアップされているからだ。

だが Facebook の利用者がゼロになった場合、その価値は限りなくゼロに近いものとなる。

人々は Facebook が嫌いなのだ。Facebook の機能やデザインに対する利用者の評価が、常に非常に低いことからもそれがわかる。

だが人々は Facebook が好きなのだ。なぜならば、Facebook を利用している人たちが好きだからだ。そしてこれが、私が Facebook が「バブル」の状態にあり、そのバブルがいつ弾けてもおかしくないと考える理由だ。

人々が Facebook 離れを始めたら「ネットワーク外部性」は弱まり、その価値は急速に低下するだろう。

Facebook は利用者離れに苦しんでいる。特に、10代・20代の利用者離れが激しい。これは、Facebook がもともとターゲットにしていた層のユーザーだ。

だが、利用者離れは表面的には目立たない。Facebook を去る人たちは、アカウントは削除しないからだ。両親、祖父母、同僚、上司などに遠慮して、アカウントはそのままにしていることが多い。

人々が Facebook 離れを起こす理由は、次のようなものだ。

1. ソーシャルグループ間の衝突

10代、20代の利用者が友だちに向けてメッセージを投稿したとする。だが、その投稿を見た利用者のおじいちゃんが孫に小言を言うかもしれない。また、パーティーで酔っぱらって悪ふざけをした写真が、職場での評判を落とすこともある。Facebook にはあらゆる世代に属す、あらゆるソーシャルグループの利用者が参加しているので、このようなグループ間の衝突が発生しやすい。そして、若い利用者はこれを嫌う。

2. Facebook によるソーシャルストレス

Facebook は多くのシチュエーションで利用者をストレスに曝す。例えば、あなたは自分の上司が苦手だったとしよう。あなたはその上司からの友だち申請を承認するだろうか?それとも、しない? 会う機会の無くなった人を友だちから外す?会社の同僚や元同僚の扱いは?

誰もが利用する単一のソーシャルネットワークは、このようなソーシャルストレスを生み出している。

3. 恋人と別れても、Facebook は永遠に続く

別れた恋人の近況ほど目障りなものはない。知りたくなければ、Facebook を離れるしかない。

4. 常にプライバシーの不安が付きまとう


Facebook はあらゆる種類の情報を収集し、それを活用している。だが Facebook はプライバシーの活用方法について、利用者の信頼を獲得できていない。また、情報を収集している割には、表示される広告が利用者のニーズに合ったものでないのも問題だ。

5. Facebook を悪用した嫌がらせなど

Facebook は、特に高校生の子どもたちによって、嫌がらせなどに悪用されるケースが多い。Facebook への投稿は、利用者のソーシャルグループ、ファミリーグループ全体が目にする可能性があるため、この嫌がらせは性質が悪い。

Facebook 離れをした人は、今どこにいるのか?

Snapchat はクールだ。

Snapchat とは、写真や動画を友だちに送信できるアプリ。受信者が写真を閲覧できる時間を設定でき、その後は受信者の端末からも Snapchat のサーバーからも完全に削除されるのが特徴だ。

Snapchat はクール!

Snapchat が今後さらに人気を獲得するか、それとも消えてしまうのかは現時点ではなんとも言えない。だが、Snapchat は Facebook から離れた人たちの受け皿として機能しているのは確かだ。Facebook で発生している様々な問題は、Snapchat では発生しないからだ。

Snapchat は、Facebook から逃げてきた人たちの避難所の1つとなっている。他の避難所としては、WhatsAppInstagramLINEWeChatKikTwitter、そして Google+ などがある。

Facebook を離れた利用者は、目的毎にソーシャルネットワークを使い分けており、知らない人との知的会話には Google+ を、有名人の動向を知るには Twitter を、写真の共有には Instagram を、本当に親しい友人との交流には WhatApp を利用している。

その様子は「ディアスポラ(ユダヤ人の離散)」のようであり、人々は様々な場所へと散っている。ソーシャルサービスの現状は、とても流動的だ。

Facebook は利用者の流出をどのように食い止めようとしているのか?

Facebook は利用者を失っている。特に、若い世代でそれは顕著だ。ある英国の調査では、16歳から18歳の若者は、Facebook を使っていることを恥ずかしいと感じていることが明らかにされている。同調査は Facebook は若い人の間では、単に落ち目なのではなく、すでに死んだものとされており、埋葬されてしまっているとしている。

では Facebook はどのように利用者の流出を食い止めようとしているだろうか?その1つは買収だ。人々が Facebook を捨て Instagram へと流れ始めたとき、Facebook は Instagram を買収した。

Facebook のもう一つの策略は模倣だ。Facebook はこの2年半の間、Google+ の機能とサービスを真似し続けてきた。Facebook は Twitter のストリームコンセプトも模倣している。人々が Vine を利用し始めたとき、Facebook は買収した Instagram に短い動画のアップ機能を搭載した。Facebook は Poke により、Snapchat の模倣さえ試みている。

このようにして Facebook は利用者の流出を食い止めようとしている。同時に、コアな支持者がひっそりと立ち去っていることも隠そうとしているのだ。

誤解しないで欲しい。Facebook は巨大なネットワークであり、今後数年は財政的にも成功し続けるだろう。

だが Facebook は「ネットワーク外部性」バブルの状態にあり、そのバブルはおそらく、今年はじけることになるだろう。そうなれば、Facebook は誰もが参加しなければならない必須のソーシャルネットワークではなく、単なる選択肢の1つに格下げにされることになる。

そしておそらく、それは多くの人々にとって良いことなのだ。

Mike Elgan
Mike Elgan は、Elgan Media の CEO。internet.com の他、Computerworld、Cult of Mac などの IT 関連メディアに寄稿している。