NASA(米国航空宇宙局)の Goddard Space Flight Center(ゴダード宇宙飛行センター)は、日本時間11月29日3時34分ごろ近日点(太陽に最も近づく軌道上の位置)を通過したアイソン彗星について、崩壊して蒸発したとの見解を発表した。NASA の太陽観測衛星(SDO:Solar Dynamics Observatory)はアイソン彗星が太陽に近づくにつれ薄暗くなるようすを撮影し、その後いずれの SDO からも姿を捉えられずにいる。同センターは太陽に近づくアイソン彗星のビデオ「Comet ISON Fizzles(消えゆくアイソン彗星)」を YouTube で公開した。

太陽に近づくアイソン彗星
NASA の SDO などによるビデオ

アイソン彗星は、近日点の通過前後に明るさ(光度)がマイナス等級になると予想され、今世紀最も明るい彗星として期待されていた。なお、有名なハレー彗星は楕円軌道で約76年ごとに太陽に近づくが、アイソン彗星の軌道は放物線を描くため太陽の近くに来るのは1回限り。そのため、今回の接近を逃すと二度と見ることができない。太陽に近づいた際に太陽の重力や熱で崩壊しなければ、肉眼でも見られる大彗星になる可能性があった。

近日点通過の瞬間は地球上から観測できず、NASA は複数の SDO でアイソン彗星のようすを観測していたが、暗くなった後、現れるはずの位置で見つけることができず太陽周回中に消滅したと考えられる。

近日点通過時刻後の SDO による映像
近日点通過時刻後の SDO による映像
十字マークの位置にアイソン彗星が写るはずだった