日曜日、私は New York Times を読みながら、とても奇妙な気分を味わっていた。

私は New York Times の定期購読者で、この新聞を何年も読み続けている。だがソファーに座り、印刷された新聞を読むことの意味が、時々わからなくなるのだ。

座って新聞を読みつつも、何度もスマートフォンを取り出し、最新のニュースをチェックしているからだ。新聞のニュースは昨日のもの。インターネットのニュースに比べると、古いと感じてしまう。

多くの人々がそうであるように、私はニュースを主にオンラインで収集している。特に、ソーシャルメディアからだ。そろそろ我々は、この事実に直面しなければならない。我々の「新聞」は、いまや Twitter、Facebook、Google+ であると。

ソーシャルサイトを活用すれば、信頼している人や、個人的な知り合いが見つけたニュースを読める。また、好みのニュースサイトのフィードや、有能なアグリゲーターをフォローすることも可能だ。

この傾向がさらに強まれば、ソーシャルメディアを運営する企業が、ニュース産業を併合することになるかもしれない。

新聞の現状を考えてみよう。

1. 新聞ビジネスは、購読者が目にする広告を企業に販売することで成立している。だが、ソーシャルメディアも、広告販売で成立している。かつては、新聞に広告を出稿していた企業が、いまではソーシャルメディアに出稿するようになっている。

2. ソーシャルメディアは人々がニュースを消費する主な場となっている。米国成人の43%が、ソーシャルメディアは、主要なニュース入手先だと回答しており、この傾向は若年層ほど顕著だ。これは、新聞社の経営が、年々厳しくなることを意味する。

3. 新聞社は、どこも財政難に陥っている。主な原因は、インターネットの普及に対応していない、非効率な体質にある。新聞社は、読者が印刷された新聞を買っていた時代に作り上げた、時代遅れの組織をいまだに守り続けているのだ。

何千もの新聞社で、多くの記者や編集者が、他の新聞とまったく同じニュースをカバーするために働いている。だがインターネットの世界では、その記事の1つか2つのバージョンだけが取り上げられ、他の新聞社の書いた記事はなかったことにされてしまう。それがわかっていながら、同じことを続けるのは、非効率だ。

■Twitter タイムズ ― @Eventparrot はその第一歩か?

Twitter はすでにニュース速報の分野を制している。主要なニュース速報の多くは、大手新聞社が伝えるより前に、Twitter で拡散する。

FOX NEWS は最近、ニュースルームのデザインを一新した。ルーム内には巨大なタブレットが設置され、担当者がそれを利用して Twitter をモニタリングし、ニュースを探しているという。

Twitter、Facebook、Google は、新聞社を運営するべきなのか?
FOX NEWS ニュースルーム
巨大タブレットが設置されている

Twitter のニュース速報の問題点は、そのニュース投稿に相当数のデマが含まれていることだ。真実とデマを区別することは困難で、後になってわかることが多い。Twitter 投稿が真実だったと確認された後で、人々は「私はそのニュースを、Twitter で読んで前から知っていた」と言えるのだ。

だが、単なるうわさやデマを排除できれば、Twitter の速報性は活かされる。

Twitter は最近、実験アカウント「@eventparrot」をスタートさせた。このアカウントをフォローすることで、世界の最新ニュースをダイレクトメッセージで受け取れるという。

Twitter の実験アカウント「@EventParrot」
Twitter の実験アカウント「Event Parrot」

Twitter はこのアカウントに対して公式なコメントを出してはいない。だが私が見る限り、Twitter は大きなニュースに関する確実で信頼できる投稿を見つけ出し、それをこのアカウントからリツイートするという試みを実施しているようだ。これがうまく機能すれば、人々は複数のニュースサイトをフォローしたり、多くの投稿からどれが真実でどれがウソかを自分の力で見抜く必要がなくなる。

さらに興味深いことに、Twitter は現在、NBC News の最高デジタル責任者である Vivian Schiller 氏を、Twitter のニュース部門のトップとして採用するために動いている。Schiller 氏はこれまで、NPR、CNN、Discovery、New York Times で働いてきた経験を持っている。Twitter はすでに、他の大手ニュースメディアからの、主要な人材の獲得に成功している。

■ Google+ ポスト

Google+ は、ニュース速報の分野で Twitter に取って代わる存在になるかもしれない。

現在すでに、人々は Twitter で速報やうわさを読んだ後、Google ニュースでそれが真実か確認するという行動を取るようになっている。

Google はすべてのサービスを Google+ に統合する意図を持って動いている。Google ニュースが Google+ と統合されれば、Google+ の投稿でニュースを知り、それを Google ニュースで確認するという作業は、いまよりさらに容易なものとなるだろう。

そうなれば、メディアや記者は速報を Twitter ではなく Google+ に投稿するようになり、これによって Google+ が Twitter に取って代わる可能性はますます高まっていくはずだ。

■ Facebook プレス

Facebook は6月に「Reader」を発表した。これは、モバイル向けのニュースアグリゲーションサービス。様々なオンラインソース、特に利用者の家族や友だちによって Facebook 上で共有されたニュースを集めて提供するシステムだ。

Facebook の「Reader」は、新聞に取って代わることを目指している。これが実現すれば、人々は朝、コーヒーを飲みながら新聞を手に取る代わりに、タブレットを手に取って Facebook の提供するニュースを読むようになるだろう。

■ソーシャルメディア企業は信頼に足るのか?


ソーシャルメディアが、人々がニュースを得る場所を変えていくことは間違いない。

だが、大きな疑問が残る。我々は、ソーシャルメディア企業を信頼してもよいだろうのか?彼らの手に、ジャーナリズムを委ねて大丈夫なのか?

私は大丈夫だと考えている。その理由は次の通りだ。

ソーシャルメディア企業が新聞社を統合したとしても、そこで働く編集者や記者は、自らの倫理観に背くことはない。どのようなニュース企業も、広告を販売する営業サイドと、ニュースを配信する編集サイドの間には、「万里の長城」とも呼ぶべき高い壁があり、広告主からの影響が編集サイドに及ぶのを防いでいる。

財政的に健全な新聞社ほど、壁は厚く、高い。だが、財政的に困難な新聞社では(今日の新聞社の大半がそうだが)、壁は薄く、低く、弱いものとなる。

Microsoft が1996年に始めた Slate Magazine を思い出してほしい。Microsoft は、このメディアを運営する上で、正しいことをした。信頼ある出版社のように振る舞ったのだ。Microsoft は、Michael Kinsley 氏という著名な編集者を雇い、彼に完全な編集権を与え、経営サイドからは一切口出ししなかった。

Microsoft にできたことが、Twitter や Google や Facebook にできない理由はどこにもない。

多くの人々がソーシャルメディア企業にジャーナリズムを託すことを不安視しているが、実は、時代遅れの組織とシステムを持つ現在の新聞社にジャーナリズムを任せておく方が、ジャーナリズムにとっての危機となるのだ。大手の新聞社はどこもフォトグラファー、編集者、記者のレイオフを続けている。調査報道の規模は縮小され、編集者のレベルも低下している。

知性と倫理観を持つジャーナリストは、新聞ビジネスを見捨て、他の業界に移籍しているのだ。これは、民主主義の危機だ。

編集者も記者も倫理観を持っている。新聞社に不足しているのは、資金だけなのだ。

そして、ソーシャルメディア企業は、新聞社には不足している資金がある。あとは、編集サイドが独立性を保てる組織の構築に向けたビジョンさえあればよい。

ソーシャルメディア企業にジャーナリズムを委ねてみてはどうだろう?どの道、我々がニュースを得るのは、新聞社からではなく、ソーシャルメディアからなのだ。彼らの持つ資金力が、ジャーナリズムを窮地から救い出し、復活に導いてくれるかもしれない。

Mike Elgan
Mike Elgan は、Elgan Media の CEO。internet.com の他、Computerworld、Cult of Mac などの IT 関連メディアに寄稿している。