米国 Microsoft の悪夢が現実のものになる日は、もうそこまで来ているのかもしれない。PC ベンダーは自社の PC 製品ライン構築のため、Microsoft 以外の OS パートナーとの提携を模索し始めている。

10月8日、米国 Google は米国 Hewlett-Packard と提携し、279ドルの「Chromebook 11」をリリースした。Google は、Chromebook 11 は、Chrome OS ベースの PC がメインストリームになることを証明する製品であると述べている。

Google の Chromebook が成功すると考える10の理由

PC 分野に対する Microsoft の支配力は未だ圧倒的であり、Chrome OS が Windows に対する脅威となるには、かなりの時間を必要とするだろう。だが、Google と HP が提携したことには大きな意味がある。この提携が、Chrome OS 飛躍の足掛かりとなるかもしれないからだ。

実際、Windows PC の売上が下落を続ける中、Chromebook の売上は伸びている。調査会社 NPD が7月に発表したデータによれば、米国における300ドル以下のノート PC 市場では、Chromebook が全体の20〜25%を占めるまでになっているという。

今回は、発売当初の不評にもめげず、Google が強固に Chromebook にコミットし続けてきた理由をまとめてみたい。これによって、Chromebook が成功すると考える理由が明確になっていくはずだ。

1. Chromebook の売上が伸び続けている

Chromebook の出足はぱっとしないものだった。だがその後、状況は徐々に改善されてきている。

前述の通り、米国で販売される300ドル以下のノート PC では、その4台に1台は Chromebook となっている。北米全体で見ても、Chromebook は5%のマーケットシェアを獲得している。数字自体はまだ小さなものだが、昨年比の伸びは大きい。

Chromebook

売上の増加が継続している限り、Google による Chromebook に対する投資も継続されるはずだ。

2. Chrome OS に対する見方が変化してきた

Chrome OS は当初、Windows の非力な代替品と考えられていた。発売当時、Chrome OS 向けのスタンドアロンアプリは存在せず、オフラインではまともに利用できなかったためだ。Chromebook はオンラインで、クラウドアプリを利用する設計となっていた。

だが現在では、Chromebook のアプリはオフラインでも動作するようになっている。利用者は、オフラインで作業し、オンラインになったときに変更をクラウドと同期可能になったのだ。Chrome OS は、既存の OS と競合可能な機能を持ちつつある。

3. 価格がこなれてきた

もし、Chromebook の価格が発売当初のように400ドルを超えたままであったなら、Chromebook は Windows PC の競争相手にはなりえないだろう。だが Google は Chromebook 11 の価格を279ドルに設定し、低価格での提供にコミットしている。

Chromebook

この価格であれば、Chromebook はタブレット端末とも十分に競合可能であり、売上台数は今後も増加を続けるだろう。

4. 世界は Web へと移行を続けている

多くの企業で、クラウドベースのサービスの利用が当たり前のことになってきつつある。世界中のオフィスで、顧客はクラウドによって生産的な働きができることを知りつつあるのだ。

Google は、Web だけで何でもできる世界を実現しようとしている。これが実現すれば、Chrome OS はその世界に最も適した OS となるだろう。

5. PC ベンダーは Microsoft 以外のパートナーを探し始めている

何年もの間、PC ベンダーたちは、Microsoft 以外の企業とパートナーシップを組むなど考えもしなかったし、Windows 以外の OS を搭載した製品を販売することも考えてはいなかった。

だが PC の足元を揺るがす Windows 8 の登場という不測の事態に直面し、HP、Dell、Acer そしてその他の PC ベンダーは、自社の利益を守るため、OS を多様化させるべきだと悟った。そしてそこに、Google Chromebook が登場した。

6. Google は、「エコシステム」を提供できる

テクノロジーの世界では、エコシステムが構築できるかどうかが、成功の可否を決定する。単に OS を提供するだけでなく、OS 上で動作するアプリ、そのアプリを購入できるマーケットプレイス、そして、そのプラットフォーム上で利用可能な統合サービスの提供が必要なのだ。

Chrome エコシステム


Google は Google 検索のほか、Gmail、Google マップ、Google ニュース、Google ドライブといったサービスを提供している。これらはすべて Chromebook の「エコシステム」として利用可能なものばかりだ。

7. Chromebook により、利用者の Google 依存はさらに高まる

Chromebook に対する人気の高まりが今後も続ければ、Google は Web アプリ開発者に対して Chrome OS 向けのアプリの開発を依頼しやすくなるだろう。Google のオンラインサービスはさらに使い勝手の良いものとなり、Chrome OS および Chromebook に勢いを与えることになる。

8. Internet Explorer から、さらにシェアを奪える

Google の Chrome Web ブラウザは、Internet Explorer からシェアを奪うことで成長を続けてきた。今後、Chromebook の売上が増加すれば、Web 利用者による Chrome ブラウザのシェアはさらに上昇することになるだろう。

そして Chrome OS の利用者が増加すれば、それは Google の広告収入の増加に直結するのだ。

9. Chromebook は企業に浸透していく

Google は Chrome OS の発表当時から、Chromebook は企業ユーザーに支持されると主張してきた。現時点では、まだほとんどの CIO が Windows に忠誠を誓っている状況だが、徐々に Chromebook が企業で利用できると考える人が増えてきている。

Forrester Research による7月のレポートでは、企業が Chromebook への投資を検討すべきいくつかの理由が紹介されていた。その中には、Chromebook を導入することで、「メンテナンスではなく、イノベーションにフォーカスできる」「社員の間に、コラボレーションコンピューティングが浸透する」といったものがあった。

Google はまた、Google Apps などのビジネス向けサービスも提供している。

10. Google には資金力も時間も十分にある

Chrome OS が Windows の脅威になるまでには、まだまだ長い時間がかかるのは間違いない。世界が Google のビジョンに追いつき、クラウドコンピューティングに対する完全な信頼を持つようになるのは、何年も先のことになる。だが、これは検索の巨人にとっては問題にはならない。Google には Chromebook の機能を向上させ、多くの人々にアピール可能なものにするための、資金力も時間も十分にあるのだ。

Google ロゴ

Google は、Chrome OS をいますぐヒットさせる必要はない。ゆっくりと PC ユーザーに対して宣教を続け、Google の考える新しいコンピューティングの世界に誘えばよいのだから。