22年前に Linux OS を生み出した Linus Torvalds 氏が9月18日、他のカーネル開発者とともに LinuxCon カンファレンスの基調講演に登壇し、Linux カーネル開発について語った。

およそ1時間のセッションを通じ、パネルメンバーは聴衆からの幅広い分野に渡る、様々な種類の質問を受け付けた。

【LinuxCon 2013】Linus Torvalds 氏が Linux 開発を語る
LinuxCon の基調講演に登壇した Linus Torvalds 氏
Torvalds 氏に対して最初に投げかけられた質問の1つは、Linux カーネル開発に関わることが、実際にどれほど大変なのかについてだった。Tolvalds 氏は次のように回答した。

「我々には驚くほど多くの開発者がいる。ある意味で、関わることは大変困難と言える。だが別の観点から見れば、他のすべてのオープンソースプロジェクトの中では、Linux に関わるのは容易だとも言えるだろう。やることが山ほどあるからだ」

Torvalds 氏は Linux に関わっている開発者が多いことを指摘し、次のように付け加えた。

「本当に大変なら、これだけ多くの人々が Linux に関わるはずがない」

ハードウェアの進化

Torvalds 氏にとって、ハードウェアのイノベーションは、カーネル開発における楽しみの1つだという。Torvalds 氏が22年前に Linux を開発したとき、ハードウェアは現在とはまったく異なるものだった。同氏は、20年後のハードウェアはさらに変化するだろうと期待している。

だが Torvalds 氏は、ハードウェアの進化はある時点で必ず減速を始めると予測している。同氏は、「ムーアの法則」が成り立たなくなった後の業界の反応に興味があるという。

「なぜ Linux が携帯電話の上でも稼働するようになったかと言えば、それは携帯電話が成長したからだ。いまでは、私が最初の Linux 開発に使用したマシンの数千倍のパワーを持つ携帯電話が登場している。だが、こんな進化がいつまでも続くはずはない。人々は、ムーアの法則を信じていると口では言っているが、10年後には、現在のペースでの進化は困難になるだろう」

多くのハードウェアコミュニティは、仮想化に向かおうとしている。だが、Torvalds 氏は、仮想化には興味はないようだ。

「私は、仮想化に関することは何もしたくない。リアルなハードウェアを扱いたい。私は、リアルな男(real man:「男の中の男」という意味もある)だからだ」

NSA バックドア

Torvalds 氏はまた、米国政府から Linux にバックドアを作るよう依頼されたことはないかと尋ねられた。

Torvalds 氏はこの質問に対し、首を縦に振りながら「ない」と回答し、聴衆を笑わせた。

Linux 開発の理由は?

Torvalds 氏は、同氏がそもそもなぜ開発者になったかについても尋ねられた。同氏は Linux を開発した理由については、同氏の所有するマシンで UNIX を稼働させたかったが、そのお金がなかったためだと説明した。開発者になった理由については、友だちが PC 上でゲームを楽しんでいたとき、同氏にはそのゲームを買うお金がなく、仕方なくプログラミングを学んだのだと述べた。

「必要が、私を挑戦に駆り立ててきた」

最後に Torvalds 氏は、Linux は同氏自身の存在の中心にあるものだと述べた。

「Linux よりも興味深いプロジェクトを私は知らない。Linux がなかったら、私はその人生の空白をどう埋めて良いのか、想像することもできない」

Sean Michael Kerner
Sean Michael Kerner は、eWeek および InternetNews.com の主任編集者。