富士通研究所は、データを暗号化したまま統計計算や生体認証などを可能にする準同型暗号の高速化技術を世界で初めて開発した。

近年、クラウドの普及に伴いデータ保護が重要な問題となっており、データを暗号化したまま演算処理が可能な暗号方式として準同型暗号が注目されている。しかし、従来の準同型暗号はビット単位で暗号化を行うため処理時間が長く、実用化する上での課題となっていた。

同社は今回、データのビット列の並び方を工夫して一括暗号化することで、統計計算などをする際に必要となるビット列の内積(ビットごとの乗算の和)計算を暗号化したまま一括して行う技術を開発。これにより、従来に比べ処理性能を最大で約2,000倍高速化することに成功した。

富士通研究所、暗号化したまま統計計算などを可能にする準同型暗号の高速化技術を開発
多項式演算の特徴を利用して、データを一括暗号化し内積計算を行う技術

同技術により、クラウド上のデータのプライバシーを保護しつつ利活用することが可能になる。例えば、生体認証に適用することで、個人情報である指紋や静脈データといった生体情報を、暗号化したまま安全に照合することができるようになる。また、医療や生化学データといった機密情報のデータ分析など、これまでプライバシーが壁となっていた複数の企業にまたがった情報活用が、クラウドサービスと今回開発した暗号技術との融合により促進される。

クラウドサービスにおけるプライバシー保護とデータ利活用
クラウドサービスにおけるプライバシー保護とデータ利活用

同社は同技術の詳細を、9月2日からドイツのレーゲンスブルグ大学で開催される国際会議 MoCrySEn2013(The Second International Workshop on Modern Cryptography and Security Engineering)、9月12日からイギリスのロンドン大学で開催される国際会議 DPM2013(The 8th International Workshop on Data Privacy Management)で発表する。