米国 Microsoft は8月23日、CEO である Steve Ballmer 氏が今後12か月以内に退任すると発表した。Ballmer 氏がいつ退任するのかは明らかにされていないが、同社取締役会はすでに特別委員会を設置し、新たな CEO の選任に向けて動き始めている。新 CEO が任命されれば、創業者や起業時のメンバーによる Microsoft の運営という時代が終わりを告げることになるだろう。

Steve Ballmer 氏に関する10の出来事
退任を発表した Microsoft CEO の Steve Ballmer 氏

Ballmer 氏は2000年に CEO に任命された。Ballmer 氏は、支持者からはアクティブな行動で人気を博した。だが、その過激な言動から同氏を好きになれないという人も少なからず存在した。

Ballmer 氏が正式に退任する前に、同氏の Microsoft CEO としての13年のキャリアにおける、際立った出来事をまとめてみたい。

Bill Gates 氏の影からの脱却

Steve Ballmer 氏が Bill Gates 氏から Microsoft を引き継ぐのは、簡単なことではなかった。Gates 氏の影響力は、非常に強いものだったからだ。だがやがて Ballmer 氏は Gates 氏の影を振り払い、現在では Ballmer 氏の後継者選びが困難になるほど、Microsoft に大きな影響を与えた人物となっている。

ステージ上での振る舞い

Ballmer 氏のステージ上での振る舞いを忘れられる人などいないだろう。同志はカンファレンスなどで登壇する際、狂ったように叫びながら現れ、観客を沸かせた。この振る舞いは、Microsoft 社員の士気を大いに高めた。時にはメディアに揶揄されることもあったが、それでも一般大衆からの Microsoft への注目度を高めていたことは間違いない。

壇上を舞う Steve Ballmer 氏

Windows Vista の失敗

Steve Balmer 氏の最悪の決断は、Windows Vista を出荷してしまったことだ。これに異議を唱える人は少ないだろう。Windows Vista は、まだリリースできる段階になかった。にもかかわらず、Microsoft は企業や一般消費者に対して Vista の導入を促した。

Windows Vista の出荷は、Ballmer 氏の最悪の決断だった
Windows Vista の出荷は、Ballmer 氏の最悪の決断だった

これは大きな失敗だった。Vista は PC 市場における Apple のシェア拡大を許しただけでなく、人々が Microsoft の PC 支配に疑問を持ち始めるきっかけともなった。

ゲームの世界への進出

Xbox は人々が Microsoft を見る目を大きく変えた。Microsoft がゲームコンソールをリリースしたとき、Microsoft はソフトウェア企業だと考えられていたのだ。だが、Xbox の登場後、Microsoft は信頼できるハードウェアメーカーでもあると考えられるようになった。

Xbox は Ballmer 氏による大きな業績の1つ
Xbox は Ballmer 氏による大きな功績の1つ

これは Ballmer 氏による素晴らしい功績の1つだ。Xbox はいまも Microsoft に好影響を与えている。

モバイル市場へ進出の遅れ

モバイル市場は Ballmer 氏には理解しにくいものだったようだ。それは、Microsoft がこの市場で1桁のシェアしか獲得できていないという事実が物語っている。

iPhone がリリースされたとき、Ballmer 氏はそれを笑った。Android がリリースされたとき、Ballmer 氏は、Android は成功しないと考えた。この結果、Windows Phone は iOS や Android の後塵を拝すこととなり、Ballmer 氏はその責任を問われている。率直にいって、この責任は、Ballmer 氏にあるだろう。

Microsoft は、モバイル市場への進出に遅れをとった
Microsoft は、モバイル市場への進出に遅れをとった

Windows 8 の失敗

Windows 8 は大失敗だ。だが、Ballmer 氏と Microsoft 幹部は、この OS がヒットすると信じていた。Windows 8 は Ballmer 氏が、自身の価値を世間に示すためのラストチャンスだと見られていたが、この OS は失敗に終わった。

Windows 8 戦略は暗礁に乗り上げている。そしてこの責任は、やはり Ballmer 氏にある。

過去最高の財務実績

Ballmer 氏はいくつかの大きな失敗はしたが、企業としての Microsoft をより巨大なものにした。同氏が CEO を務めた期間、Micrsoft の利益は数十億ドル規模に跳ね上がった。売上は、Bill Gates 氏の功績が霞んでしまうほどのものだ。財務実績だけを見れば、Ballmer 氏は極めて優秀な CEO だったと言えよう。

買収や投資の成功

Ballmer 氏は、企業への投資や買収で大きな失敗をすることはなかった。Microsoft は Yahoo!に大きな投資をしたが、これはその後同社の検索プラットフォーム Bing にプラスとなった。また、Facebook にも投資をしたが、これも Microsoft に利益をもたらしている。Skype への投資も成功の例として挙げることができるだろう。Ballmer 氏は、投資に関しては一流の見識を持っている。

株主からは嫌われた

株主は、Steve Ballmer 氏を嫌っていた。それは、Ballmer 氏の退任発表後の反応を見ても明らかだ。

退任発表後、Microsoft の株価は8%上昇した。アナリストの多くは、Microsoft の株価は、今後も堅調が続くと予測している。

PC 市場の凋落

PC 市場の急速な凋落に対する認識無しに、Steve Ballmer 氏を評価することなどできないだろう。Ballmer 氏には、Microsoft のコアビジネスである PC 市場を維持または拡大させる義務がある。だが Ballmer 氏は、Windows 8 と Surface の失敗により、PC 市場の縮小に追い打ちをかけてしまった。

Microsoft には、PC 市場のイニシアチブを取れる誰かが必要だ。残念だが、それは Ballmer 氏ではないようだ。

Don Reisinger
Don Reisinger は、フリーのコラムニスト。Ziff-Davis の Gearlog.com でのデビュー以降、Computerworld、InformationWeek などに数多くのコラムを寄稿してきた。現在は eWeek の他、CNET、LA Times でコラムを執筆している。Twitter のフォローは、@donreisinger で。