米国 Facebook の創業者であり CEO である Mark Zuckerberg 氏は8月21日、「internet.org」と呼ばれる団体の設立を発表した。これは、インターネットアクセスを持たない50億の人々にネットへの接続環境を提供する試みだ。

internet.org プロモーションビデオ

我々は普段、世界中の人々がインターネットを利用可能だと錯覚している。だが実際にインターネットにアクセスできるのは、全人口のうちの27億人に過ぎない。Facebook による internet.org は、残りの50億人にネット接続を提供し、インターネット人口を現在の3倍にすることを目指すものだ。

internet.org の設立メンバーには、エリクソン(Ericsson)、メディアテック(MediaTek)、ノキア(Nokia)、オペラ(Opera)、クアルコム(Qualcomm)そしてサムソン(Samsung)が名を連ねている。

internet.org の設立メンバー企業
internet.org の設立メンバー企業

Facebook は、 Microsoft や政府機関、それに多くの携帯電話キャリアにも参加して欲しいと考えているようだ。internet.org は、「AnybodyButGoogle.org(Google でなければ誰でも.org)」と呼びかえてもよいのかもしれない。

internet.org の目的は、新たな技術を開発し、世界中の政府やキャリアの力を借りて、貧しい人々にインターネットアクセスを提供すること。この目的を果たすため、設立メンバー各社は、安価なスマートフォンの開発、安価な通信手段の開発、少ない帯域幅でデータ通信が可能な圧縮技術の開発、バッテリーの電力をあまり消費しないでデータ通信を可能にする技術の開発に取り組む。

internet.org は、貧しい人々に対する インターネットアクセスの提供を目指す
internet.org は、貧しい人々に対する
インターネットアクセスの提供を目指す

Facebook はすでに「Facebook Zero」とよばれる internet.org と似たプログラムを運営している。Facebook Zero とは、開発途上国を対象とした、無料でアクセスできるテキスト版の Facebook だ。このプログラムに参加しているキャリアを利用するユーザーは、0.facebook.com または zero.facebook.com にアクセスすることで、必要最小限に圧縮されたバージョンの Facebook を利用できる。

Google も、Google 版の Facebook Zero と呼べるものを持っている。「Google Free Zone」がそれだ。Google のプログラムは従来型携帯電話に最適化されており、開発途上国の利用者が、携帯電話の通信料を支払うことなしに、Gmail、Google 検索、Google+ を利用可能となる。

Google Free Zone
Google Free Zone

だが Facebook Zero は、現在では時代遅れのものとなりつつある。スマートフォン価格の急激な下落がその原因だ。現在では、80ドルを切るスマートフォンも存在している。安価なスマートフォンの性能はそれほど優れたものではない。だが、パフォーマンスが多少劣ったとしても、スマートフォンであれば、テキストしか表示できない Facebook Zero よりもずっと魅力的な、グラフィカルなインターフェイスを持つ Facebook のモバイルアプリを利用できる。

internet.org は、スマートフォン時代に対応した試みと言えるだろう。

勝者は世界中のすべての人々


Facebook と Google による試みは、どちらも素晴らしいものだ。もちろん、彼らの目的は、利己的なものではある。彼らは、より多くの顧客を獲得することを目的に、これらのプログラムを運営しているのだ。

だがその理由がなんであれ、より安価なスマートフォンや、データ圧縮技術が開発されれば、それはすべての人にとってプラスとなるだろう。リソースが制限された開発途上国の人々がインターネットアクセスを獲得し、国会図書館のデータにアクセスできるようになれば、教育の機会が広がるのは間違いない。世界がもっと繋がるようになれば、もっと多くのビジネスチャンスも生まれるはずだ。

現在すでにインターネットが利用できる環境にある幸運な我々も、これらのプログラムによる恩恵を受けることになるかもしれない。例えば、現時点ではまだインターネットを利用できない人々の持つ、優れた経験や知恵に触れることができるようになるかもしれないのだ。

Mike Elgan
Mike Elgan は、Elgan Media の CEO。internet.com の他、Computerworld、Cult of Mac などの IT 関連メディアに寄稿している。